瀕死のマンガ主人公が「復活」したトンデモ方法3選 毒を以て毒を制す?
マンガのなかで、主人公が窮地に追い込まれるエピソードと、そこから復活するまでのプロセスは、物語の醍醐味のひとつともいえます。その方法も、千差万別で面白いですよね。今回は、一時は瀕死に追い込まれた主人公の「復活エピソード」と、凄すぎる周囲の協力、方法をご紹介します。
主人公の生命力と仲間の協力にビックリ!
いくつもの死線を超えてきた主人公が絶体絶命の大ピンチに陥る、というエピソードはマンガの醍醐味のひとつです。そして、そこから「復活」するプロセスも、また面白さにつながります。今回は、瀕死の状態に追い込まれた主人公を救った驚愕の方法と、それを支えた周囲のアシストをご紹介します。
●『ONE PIECE』……毒で死にかけのルフィに「ホルモン」注入!
まずは、最終章を迎えますます盛り上がりを見せている『ONE PIECE』(著:尾田栄一郎)から、ルフィの復活エピソードをご紹介します。
ルフィの絶体絶命の大ピンチは、「インペルダウン編」での、監獄署長・マゼランとの戦いで起きました。「ドクドクの実」の能力者であるマゼランから毒の攻撃を受け続けたルフィは、やがて身体中を毒に侵されて意識を失ってしまいます。そんなルフィを助けようとしたボン・クレーも、極寒地獄で凍死寸前になっていたのですが、囚人のひとりであるイナズマに拾われ、監獄内の秘密の花園「ニューカマーランド」へかくまわれました。
そこで「ホルホルの実」の能力者・イワンコフに、治療を施してもらうことになったルフィですが、それは想像を絶する荒療治。「治癒ホルモン」を注入することで、もともとある免疫力を引き出し、猛毒と戦えるような身体に変えるという治療ですが、これは「解毒」しているわけではなく、注入したホルモンと自己免疫力、そして本人の気力で治すという過酷な方法でした。
さらに、「拘束された状態で最低2日は激痛に耐える必要がある」とされていましたが、ルフィは驚異の生命力により20時間で回復し、見事復活します。ルフィの「寿命10年分」が引き換えになったものの、ホッと胸をなで下ろした読者も多かったことでしょう。
●『キングダム』……信を救った羌カイの「禁術」とは?
自分の寿命と引き換えに助かったルフィとは逆に、『キングダム』(著:原泰久)には、救う側の仲間の寿命が縮んでしまうエピソードが登場します。
秦と趙の全面戦争が繰り広げられるなか、信の目の前に立ちはだかったのは、趙国三大天のひとりであるホウ煖でした。彼の出現により、信が率いる飛信隊は窮地に追い込まれます。多くの仲間たちが犠牲になり、頼りになる羌カイも瀕死の状態に追い込まれますが、諦めずに戦い抜いた信は、とうとう宿敵だったホウ煖を討ち取ります。喜びに沸き立つ飛信隊でしたが、信からの反応がありません。実は、信は戦いのなかで限界を超え、すでに意識を失っていたのです。
それを見た羌カイは、自分自身が瀕死であるにもかかわらず、死の淵にいる信を救うため、「禁術」を使うことにします。それは、ほかでもない自らの命を代償にして、他者を蘇生する術でした。助かる可能性が低いことは理解したうえで、羌カイは自分の命すべてを使ってでも、信を救い出そうとします。
そして、あの世に行きかけた信を引き止めるべく、最後の力を振り絞った羌カイの思いが届き、信は意識を取り戻すことができました。その後、羌カイもまた死の淵に立ちますが、死んだ後にあの世とこの世の「間(はざま)」にいた仲間たちに助け出され、無事生還するのです。羌カイの信への想い、飛信隊の絆があってこその生還劇でした。
●『バキ』……毒で衰弱した刃牙が、再度「毒手使い」と対決!さらに大量の「砂糖水」を飲む!?
格闘マンガ「刃牙」シリーズの第2部『バキ』(著:板垣恵介)で、主人公・範馬刃牙を窮地に追い詰めたのは、前述のルフィと同じく毒による攻撃でした。
「最凶死刑囚」のひとりである猛毒使い・柳龍光との戦いで、「毒手」を喰らった刃牙は、その後全身が毒に侵され酷く衰弱してしまいます。そんな刃牙は烈海王によって中国へ連れていかれ、100年に一度の武術大会「大擂台賽(だいらいたいさい)」に参加することになりました。
一見、病人に鞭を打つ無茶な手段ではありましたが、刃牙が中国の毒手使い・李海王と戦ってまた毒を喰らったことで、奇跡的に毒が「裏返り」、解毒が成功します。しかし、毒と戦っていた刃牙の身体は見るからに痩せ細っており、とてもこれ以上戦える状態ではありません。
そこで試合後、烈海王が刃牙に大量の食事を振る舞います。この食事で十分に栄養を摂った刃牙ですが、最後に出てきたのは、なんと「果糖」を加えた14キロの砂糖水! これを一気に飲み干した刃牙は、猛毒のダメージを受けた全身の細胞が「超回復」し、以前よりもパワーアップしました。そして、その後の試合で郭春成を2秒でKOするほどの、ベストコンディションとなります。
ぶっ飛んだエピソードが多い「刃牙」シリーズのなかでも、特に有名で強烈な場面です。ヒロイン・松本梢江の健気な献身も印象的でした。
(椎崎麗)