劣化に愕然! ファミコン時代の「移植ゲーム」あるある5選 「改変」で高評価も
1980~90年代は、ゲームの時間差マルチプラットフォーム展開を「移植」と呼んでいました。嬉しいことのはずなのに、ハードのスペック差を顧みないばかりにとんでもない仕上がりになってしまうことも! 反対に素晴らしいクオリティだった事例も含め、往年の「移植」悲喜こもごもを紹介します。
「移植」したらどうなる? ハードのスペック差にご用心!
今日でも盛んに行われている、ゲームのマルチ(プラットフォーム)展開やリメイク、リマスター。1980・90年代には「移植」という言葉がよく使われていました。所有していないプラットフォームの人気ゲームが手持ちのゲーム機に来てくれるのは嬉しいことですが、昔は「PCゲームやアーケードゲームをファミコンへ強引に落とし込む」ようなものも多く、両者の埋めがたいスペック差による「トンデモ移植」もしばしば……。それとは逆にすばらしいデキだった移植も含めた、悲喜こもごもを振り返ります。
●もっとヤリを連射したくなる『魔界村』
『魔界村』は1985年に稼働したアーケードゲームで、同年にその移植版がファミコンで登場しました。
元々は「高難度だが理不尽とまではいかず、きちんとポイントを押さえれば先に進めるようになる」という評価で、今日でいうなら「(ダーク)ソウルライク」というのが近いかもしれません。しかし、移植版はファミコンのスペック不足(当時のアーケードゲームとは、さすがに大きな差がありました)がたたり、主人公アーサーのヤリ投げ攻撃を高速で連射できなくなってしまいました。
アーケードゲームは1プレイのたびに100円を払うビジネスモデルの性質上、意図的に難度が高めに作られています。そのほうがひとりあたりのプレイ時間が短くなるので、ゲームセンターが高価な基板代を回収しやすくなるからです。
しかし、ファミコン版がそんなアーケード版より難しくなってしまうのですから目も当てられません。クリアできないほどではありませんが、当時の子供たちはほとんど歯が立たなかったのではないでしょうか。筆者もムリでした!
●かわいいけどゴツい『アルゴスの戦士』
元々は1986年に稼動したアーケードゲームですが、翌1987年にファミコン移植版が登場しました。アーケードならではの高難度を和らげるため、即死+残機制からライフ制へ、ステージクリア型からマップ探索型へ、さらにRPGのような成長システムの導入……と、もはや別のゲームのような様相に。
さらに、ファミコンのメインターゲット層である子供たちにアピールするためか、オリジナル版にはない「はちゃめちゃ大進撃」という副題が追加され、パッケージイラストもデフォルメが効いた愛らしいデザインになりました。
しかしかわいいのは本当にパッケージだけで、敵を倒し続けることで上昇するステータスは「筋力」と「胸力」という実に男らしい名称。オリジナルを知らずとも混乱すること受け合いのタイトルでした。
それでも、筆者のようなオリジナルを知らないプレイヤーにとっては「よくできたアクションゲーム」として楽しめましたが、「あのアルゴスが移植されるのか!」と楽しみにしていた人には肩すかしだったかもしれません。