復活アニメの「声優交代」は是か非か? たった5年で新作キャスト変更の「納得いかない」例も
昨今、かつての人気作品が再アニメ化されるたびにファンの間で激論が交わされる、声優交代問題。何も最近のことではなく、昔からさまざまな作品で続編が制作されるたびにあった問題でした。その歴史をさかのぼってみましょう。
声優の交代は昔からあった? ルーツを探る

近年、過去の人気作品の再アニメ化が増えてきています。喜ぶファンも多い過去人気作の再アニメ化ですが、その賛否が分かれることがありました。それが声優の交代問題です。理由は作品によってさまざまですが、もっとも多い理由は時間が経過したことでしょう。はたして、声優交代問題はどれくらい前からあったのでしょうか?
アニメで声優が交代した作品といって、筆者が最初に思い出したのが『サイボーグ009』でした。『009』が最初にアニメ化されたのは1966年7月21日公開の劇場版。1時間ほどの作品でした。この後、人気があったことから劇場版第2弾『サイボーグ009 怪獣戦争』が1967年3月19日に公開されます。
そして1968年4月5日からTVアニメとして放送されました。このTVアニメから一部の声優が変更されました。これがもっとも初期の声優交代になるでしょう。とはいえ、この頃は「声優」という呼称も一般的ではなく、それほど大きな問題にはなっていないようです。
同じく東映動画(現在の東映アニメーション)制作のTVアニメ『ゲゲゲの鬼太郎』第1作は1968年1月3日から1969年3月30日まで放送され、第2作は1971年10月7日から1972年9月28日まで放送されました。
ここではメインの鬼太郎、目玉おやじ、ねずみ男のキャストは続投しましたが、「鬼太郎ファミリー」と呼ばれる仲間妖怪のほとんどは変更されています。そして、後に放送された第3作では目玉おやじ以外はキャストが一新されました。以降は新作が製作されるたびに、キャストが一新されるのが通例となっています。
これは鬼太郎役を変えることで世界観を一新するという意味もあるのかもしれません。実は第2作は第1作とつながった続編になっていて、原作が同じ物語は第1作と第2作では製作されていないからです。他シリーズは世界観を一新することで新作としてリメイクし、ぬらりひょんやバックベアードといった敵妖怪と過去の因縁もなく戦っていました。
また、厳密には声優交代というほどのことではありませんが、この当時は作品に登場するたびに担当声優が変わるキャラも珍しくなく、それだけおおらかな時代だったということになるかもしれません。
前述した『009』は、1979年3月6日から1980年3月25日にもTV版2作目として製作されています。この時は完全にキャストが一新されました。このシリーズは人気も高かったことから、放送終了後に劇場版『サイボーグ009 超銀河伝説』が、1980年12月20日に公開されています。
この劇場版の際、ファン投票を参考にメインキャストを決めるという企画がありました。大方のキャストはTV版第2作の声優でしたが、一部は旧シリーズからの担当声優も選ばれていました。
おそらくこのファン投票が、日本アニメ史上、最初の声優交代に関するファンの意見だったのかもしれません。当時はアニメ雑誌の創刊ラッシュだったこともあり、ファンの意見が表に出るようになったのは時代の流れでもありました。