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新型ガンダムの開発、「実績のない」アナハイムが地球連邦軍に任されたのはナゼ?

人気アニメ『機動戦士Zガンダム』より登場した、アナハイム・エレクトロニクスはさまざまなガンダムを開発した企業として知られています。『機動戦士ガンダム』では、モビルスーツの開発もしていなかった企業が、3年後には新型ガンダムの開発を行っているのですが、なぜアナハイムは躍進したのでしょうか。

スプーンから宇宙戦艦まで!

アナハイムの代表MSであるZガンダム。画像は「MG 機動戦士Ζガンダム MSZ-006 ZガンダムVer.2.0 1/100スケール 色分け済みプラモデル」(BANDAI SPIRITS)
アナハイムの代表MSであるZガンダム。画像は「MG 機動戦士Ζガンダム MSZ-006 ZガンダムVer.2.0 1/100スケール 色分け済みプラモデル」(BANDAI SPIRITS)

『機動戦士ガンダム』は、作りこまれた設定と、数多く発表された作品群がお互いを補完する、大河ドラマ的な重厚さを持つ作品です。ガンダムの世界観では、さまざまな企業が登場しますが、最も有名なのは多くのガンダムを開発した「アナハイム・エレクトロニクス(以下アナハイム)」でしょう。

 初代ガンダムとして知られるRX-78-2は、地球連邦軍の軍事計画「RX計画」で開発され「V作戦」で運用方針が定まったモビルスーツです。その開発は地球連邦軍内で行われ、アナハイムは関与していません(パラレルワールドである『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では、ガンダムの設計者であるテム・レイがアナハイムのMS開発部長であり、設定が異なります)。

 しかし、一年戦争が終了して間もない宇宙世紀0081年10月に、地球連邦軍は「連邦軍再建計画」の一環として「ガンダム開発計画」を、アナハイムに発注します。

 最高軍事機密であるガンダムを、民間企業アナハイムに発注する理由として「連邦軍が一年戦争で疲弊して余力がなく、開発力をニュータイプ関連技術に向けたかった」「民間企業に発注したほうが、コスト低減が図れる」とされています。

 モビルスーツ開発実績がない企業が、いきなり最強かつ最高機密のモビルスーツを開発することになったわけですが、これは一年戦争前からアナハイムが「スプーンから宇宙戦艦まで」扱う巨大グループ企業であることが関係していると考えられます。

「宇宙世紀0099年に編纂された」という設定の公式設定集「アナハイム・ジャーナル」では、アナハイムのグループ企業として「タキム重工」や「サムソニ・シム発動機」が上げられています。

「タキム重工」は初代ガンダムの核融合炉を開発したメーカーで、船舶や航空機も手掛ける重工業メーカー。「サムソニ・シム発動機」は、ガンダムの小型高出力アクチュエーターやフィールドモーターを開発した企業です。

 両社がいつアナハイムのグループ企業になったのか(あるいは最初からグループ企業だったのか)は不明ですが、一年戦争後にコア・ファイターを開発したハービック社がアナハイムに合併された設定を考えても、アナハイムはモビルスーツ関連企業との関係性が深く、積極的に傘下としたことは間違いないでしょう。

 小説『ジオニックフロント 機動戦士ガンダム0079』では、連邦もジオンもアナハイム製品に親しんでおり、ソフトウェアもほぼ同じという描写もあります。ガンダムは連邦軍の秘密兵器ではありますが、それを構成する部品類はアナハイムを含む民間企業抜きでは成り立たず、「ガンダム開発計画」がアナハイム主導となったのは自然な流れなのでしょう。

 ちなみに、アナハイムは一年戦争開戦前の宇宙世紀0078年に、ジオンのモビルスーツ「ザク」の開発情報を入手しており、さまざまな検討の結果「人型兵器は有用」という結論に達していました(一年戦争中に、ジオン向けのモビルスーツ生産を行ったという資料もあります)。

 なお、時代もアナハイムに味方しました。一年戦争で疲弊していた地球連邦は、負かしたジオンを再吸収して、莫大な戦時債務を抱え込むことはできなかったからです。

 ジオン共和国は一年戦争からの復興のために、国家が保有していたジオニック社(ザクなどの開発メーカー)の株式一斉売却を行い、アナハイムがこれに応じました。ジオニック社の優れたモビルスーツ開発技術が、一民間企業に渡ることに慌てた連邦政府が介入したことで、ジオニック社の技術は連邦とアナハイムが分け合う形になっています。

「モビルスーツ開発の実績がない」アナハイムが『機動戦士ガンダム0083』に登場する各種ガンダムを製作したのは、こうした歴史の流れがあってのことなのでしょう。

『機動戦士Zガンダム』では、ティターンズが「連邦系のみの技術」にこだわってガンダムMK-IIを開発する設定がありますが、ジオン系の技術者も多数在籍し、かつ民間企業であるアナハイムが「月の専制君主」と例えられるほどの実力を有していることへの安全保障面での危機感が、とても大きなものだったからというのもあるでしょう。

『機動戦士ガンダム』が放映されてから、今年で43年が経ちます。筆者は多数の作品群とこうした後付設定が、宇宙世紀の世界観を広げさせ、深めていることを感じています。後発作品を肯定的に捉えることで、世界観の広がりを楽しめるように思うのですが、皆様はどう思われますか?

(安藤昌季)

【画像】イカす! アナハイム開発の傑作モビルスーツを見る(5枚)

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