ジブリとルーカス、コラボの背後に「奇妙な縁」 宮崎駿監督と40年以上の繋がりも?
スタジオジブリが『スター・ウォーズ』の世界を描いた短編アニメ『禅 グローグーとマックロクロスケ』が、配信サービス「Disney+」で好評配信中です。ルーカスフィルムとスタジオジブリ、この奇跡のコラボはなぜ実現したのでしょう。そして宮崎駿監督とルーカスフィルムの奇妙な縁とは?
ディズニーを介してつながる、ジブリとルーカス

かねてから示唆されていた、ジブリとルーカスフィルムのコラボレーション作品は、映画『となりのトトロ』と、TVシリーズ「マンダロリアン」のキャラクターが共演するショートアニメ『禅 グローグーとマックロクロスケ』でした。同作は2022年11月12日から配信サービス「Disney+」で配信中です。
制作はスタジオジブリで、監督はスタジオジブリの数々の作品に参加し、『魔女の宅急便』ではキャラクターデザインも手掛けた近藤勝也氏。3分ほどの短編ですが、マックロクロスケとグローグーの交流が、『となりの山田くん』や『かぐやの物語』のような筆タッチで描かれ、ジブリらしさを感じさせてくれます。
本作の発表前からSNS上では「世紀のコラボ」と話題になっていましたが、同時に「なぜスタジオジブリが『スター・ウォーズ』を?」疑問に思った方もいるかもしれません。
実は『スター・ウォーズ』の制作会社であるルーカスフィルムは、2012年にウォルト・ディズニー・カンパニーの買収にあい、傘下であるウォルト・ディズニー・スタジオ(以下、ディズニー・スタジオ)の一部門となっています。
そのウォルト・ディズニー・カンパニーとスタジオジブリは、1997年の映画『もののけ姫』を契機に、ビデオパッケージの販売など業務提携の関係を結んでおり、その契約締結の際に、当時ウォルト・ディズニー・カンパニー側の窓口としてスタジオジブリとの交渉にあたったのが、現在スタジオジブリの会長兼社長を務める星野康二氏なのです。
こうしたディズニーを媒介としたつながりが、スタジオジブリとルーカスフィルムという世紀のコラボを実現させる礎(いしずえ)となったのは間違いないでしょう。
しかし、スタジオジブリの創設者のひとりである宮崎駿氏のキャリアをさかのぼると、ルーカスフィルムやディズニーとの間に、さらに複雑で興味深い縁を見ることもできます。
ジョージ・ルーカスのもとで「宮崎アニメ」制作の可能性もあった?
スタジオジブリ創設以前の1980年代初頭、宮崎駿氏は、とある日米合作アニメに参加しています。ウィンザー・マッケイ原作の映画『NEMO/リトル・ニモ』です。
東京ムービー社長(当時)の藤岡豊氏がプロデューサーを務める同作は、日米にスタジオを構え、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ(以下、ディズニー・アニメスタジオ)の伝説的アニメーターであるフランク・トーマスとオーリー・ジョンストンを顧問に招き入れ、ディズニー流のアニメ制作の教えを乞うなど、おそらく本邦初となる世界公開を視野に入れて制作された劇場アニメでした。
宮崎駿氏は、高畑勲氏とともに演出候補のひとりとして参加したものの、企画そのものには否定的で、アメリカ側のプロデューサーに自身が考える娯楽映画の要素をまとめたレポートを提出して却下され、1982年11月にはテレコム(『NEMO/リトル・ニモ』のために設立された日本側の制作スタジオ)自体を退社してしまいます。
そのレポートを却下したアメリカ側のプロデューサーは『スター・ウォーズ』シリーズを手掛けたゲイリー・カーツ氏であり、藤岡豊氏がカーツ氏以前にプロデューサーを打診し、断られたのが『スター・ウォーズ』の生みの親であるジョージ・ルーカス氏その人でした(ルーカス氏は、一度は協力を約束したものの多忙を理由に、代わりに当時ルーカスフィルムから独立したカーツを紹介したそうです)。
歴史に「もし」はありませんが、『スター・ウォーズ』のプロデューサーのもとで、ディズニー・アニメスタジオの技術がつぎ込まれた宮崎駿氏のアメリカデビューの作品が生まれる可能性もあったのです。




