『鬼滅の刃』の聖地・丹波山村に何がある?山梨なのに実質東京都のナゾ 幻のリゾート計画も
主人公・竈門炭治郎の故郷、雲取山の麓にある山梨県丹波山村は、『鬼滅の刃』の聖地として注目を集めています。この地域は青梅街道や「西東京バス」路線でつながっていることもあり、周辺の自治体も含めて「実質東京都」のような雰囲気。そして歴史の成り行きによっては、新宿直通の特急列車が走っていたかもしれません。
沿道でほんのりと『鬼滅の刃』アピール
『鬼滅の刃』の主人公・竈門炭治郎の故郷といえば、1都2県にまたがる「雲取山」です。山梨県丹波山村の登山口なら、東京都からのアクセスはとても容易です。沿道でほんのりと『鬼滅の刃』聖地アピールが見られるこの地域(山梨県丹波山村・小菅村、東京都奥多摩町西部)には何があるのでしょうか。
東京駅・新宿駅などから登山口に向かうなら、「ホリデー快速おくたま号」(観光シーズンに運行)でJR青梅線の終点・奥多摩駅(東京都奥多摩町)まで2時間前後、そこから西東京バス・奥10系統などに乗り継いで30分弱です。
しかし、観光シーズン、特に紅葉の時期の青梅線は相当に混み合います。終点・奥多摩駅が近くなると車両先頭側(改札近くに停車する)に移動が始まりますが、JR奥多摩駅前のバスターミナル(西東京バス氷川支所)では、列車の混雑具合に合わせて続行便(2台目・3台目のバス)を出してくれるので、「猪突猛進!」する必要はまったくありません。
なお、このあとバスが進む国道411号は、新宿駅横の大ガード下から続く「青梅街道」でもあり、都内からひたすら走り続ければクルマでもたどり着けます。しかし、山あいのこの一帯は駐車場が不足気味で、「せっかく来たのに駐車場がない!」という事態もあり得るので、訪れたい方には路線バスをお勧めしたいです。
山梨県側に入っても「実質東京都」の実態
奥多摩駅を出てしばらくはバスの車窓から見える人影も少なく、多摩川の流れも谷底にありほとんど見えません。その景色はやや単調で、無限列車(原作では「無限夢列車」とも)に登場した下弦の壱・魘夢(えんむ)に「お眠りィィ」と言われずとも、うとうとと眠ってしまいそうです。
しかしつい先日までは、このバスで竈門禰豆子役の声優・鬼頭明里さんの自動放送(車内アナウンス)が聴けたため、それ目的で訪れる人も多かったのだのだとか(現在は実施されていません)。
そしてバスは15分ほど走り、「日本一の上水道用ダム」として知られる小河内ダムを通過。すると車窓左側は「奥多摩湖」と愛称のついたダム湖が広がり、一転して見晴らしはスパッ! と開けます。川魚や山菜料理を出す沿道のドライブインも沿道に見えて、あたりはすっかり行楽地の佇まいです。
そしてバスは間もなく「都県境」を越えますが、見える車は対向車も含めて八王子ナンバー、多摩ナンバーばかり。そういえば路線バスの運行もJR奥多摩駅始発の「西東京バス」が担い、山梨県側の「富士急山梨バス」は数年前に小菅村に乗り入れを開始したところで、車もバスも山梨県側を含めて、全体的に東京都との結びつきが強い様子です。
なお奥多摩湖周りの山林は大半が東京都の所有となっているため、山梨県側に入っても東京都水道局の看板が目立ちます。このダムに水がなくなれば都内・三多磨地区の上水道が止まり、かつ下流には東京都交通局が所有する「白丸ダム」もあるため、都営地下鉄の運行にも支障が出てしまいます。この水資源の管理をスムーズに進めるために、昭和20年代には丹波山村・小菅村の東京都編入を試みたものの、都議会や山梨県の反対もあり断念しています。