実は「配管工」ではなかった!?『マリオ』の知られざる職業のヒミツ
マリオの職業と言えば、配管工ですが、実は元々ゲームの設定ではありませんでした。ゲームの中でさまざまな職業にチャレンジしているマリオですが、元々は一体何をする人だったのでしょうか?
マリオの職業はどう決まった?

誰もが知っているゲーム世界のスーパーヒーロー、マリオ。任天堂は、2023年4月28日公開予定の『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』のセカンド予告動画を公開しました。その中でちょっと気になるシーンがあります。マリオがスパナを持ってお風呂場のような場所で、じっと蛇口を見つめている場面です。
ちょっと詳しい人は、「マリオの職業は配管工だから不思議なことはない」と思うかもしれません。しかし、マリオの元々の職業は配管工ではないのです。
実は、マリオは最初、大工でした。これは任天堂公式サイトで閲覧できる「ニンテンドーオンラインマガジン」に説明があります。マリオが登場した当時、少ないドットでわかりやすくキャラクターを表現するため、大きな鼻にヒゲ、そして帽子が被せられました。
また、同じ理由で腕の動きを分かりやすくするために、体と腕の色を変えたいということで、服装はオーバーオールに。この姿が大工さんを連想させるため、初登場作品の『ドンキーコング』の舞台は工事現場となったそうです。元々のドンキーコングはマリオが鉄骨の足場を登っていくゲームでした。だからそもそものマリオは大工さんなのです。

●「配管工」イメージはいつから?
じゃあ、なぜマリオが配管工と言われるようになったのか。これは実写映画『スーパーマリオ 魔界帝国の女神』の影響ではないかとされています。
『ドンキーコング』の中のマリオが大工だといっても、ゲーム中で職業として明確に語られることはありません。しかしこの映画内のマリオは、はっきりと配管工として描かれているのです。『スーパーマリオブラザーズ』など、マリオ作品には土管が登場するものが多く、映画の設定が広く認知されることになったと言われています。
しかし、ゲーム中のマリオは、これまで多種多様な職業についています。ファミコンソフト『テニス』や『マイクタイソン・パンチアウト!! 』では審判をしています。『ドクターマリオ』では医者になり、『マリオオープンゴルフ』ではゴルフプレイヤーに。ゲームボーイの『ヨッシーのクッキー』ではクッキー職人、スーパーファミコンの『マリオペイント』では画家に。『マリオvsドンキーコング』シリーズではなんと、小さなマリオのおもちゃを作るメーカーの社長もしています。
●まわりまわって、映画最新作で配管工に…
たくさんの仕事をマルチにこなすマリオ。任天堂が提供するポータルサイト「マリオポータル」では『実は昔、「配管工」のお仕事をしていたこともあるらしい』と書かれていました。この昔のお仕事というのは、実写映画『スーパーマリオ 魔界帝国の女神』のことを指しているのかもしれません。また、その後たくさんの職業で活躍していることも匂わせています。
おそらくこの時点では、配管工という設定が存在していたこと自体は否定せず、しかし、現在進行形で配管工であるという認定もしていないという状態です。
しかし、その情報はいつの間にか更新され、現在では「職業は配管工」とはっきり書かれています。そして、冒頭お話しした『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』では、水回りで作業をするマリオの姿があり、これで名実ともにめでたく(?)マリオは配管工であると言えそうです。
マリオにちょっと詳しい人は、「マリオの職業は配管工なんだよ!」と言いますが、さらに詳しい人は「マリオの職業は配管工だと知られているけど、それは実写映画の話で元々は大工だったんだ」と言います。
しかしこれからのマリオ通は「マリオの職業は配管工と言われているけど、それは実写映画の話で、もともとは大工だったんだ。しかし数々の職業を経て、今は公式に配管工として認められているんだよ」と言うべきかもしれません。ややこしい話です。
マリオは元々、生みの親のゲームクリエイター・宮本茂さんが、これから自分が作る全てのゲームに登場させるキャラクターとして作り出したといいます。そして、宮本さんの全てのゲームではないものの、数えきれないぐらいたくさんのゲームに登場し、大活躍をして、世界中の人気者となります。
たくさんの職業に就いたマリオが紆余曲折を経て、配管工になり、それが最新映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』で描かれるとするならば、なかなか感慨深いものがありますね。
(田下広夢)