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廃業あいつぐ「ゲームセンター」 かつては「居場所のない人間」が集まる場所だった

ビデオゲーム中心のゲームセンターが次々と閉店を余儀なくされ。今やゲームセンターと言えばUFOキャッチャーが並ぶ店舗へと意味合いが変化しています。かつて、居場所のない人間の憩いの場としての役割を持っていたゲームセンターが姿を消していく理由とは、いったい何なのでしょうか?

閉店が止まらないのは「ビデオゲーム中心のゲームセンター」

ゲームセンターで使い古されたゲーム筐体と椅子(画像:写真AC)
ゲームセンターで使い古されたゲーム筐体と椅子(画像:写真AC)

 ゲームセンターの閉店が止まりません。1986年には2万6573軒が営業許可を得ていたゲームセンターは2020年にはわずか3931店にまで数を減らしていましたが、この2年でさらなる閉店ラッシュが続いています。

 ここ数カ月だけを見ても、10月には町田の老舗「ゲームUFO 町田ターミナル口店」が姿を消し、 11月には相模湖畔にあるレトロゲームの聖地、「富士スポーツランド」が75年の歴史に幕を下ろし、12月には「鉄拳」シリーズで活躍するプロゲーマー・ノビ氏をスポンサードしていた「イスカンダル五井金杉店」も閉店を余儀なくされました。

 実は新規に開店する店もかなりの数があるのですが、かつて一世を風靡したビデオゲーム中心のゲームセンターとは異なり、ショッピングモールなどの商業施設内にUFOキャッチャーを置いた形式の店が大半となっています。ゲームセンターという名前は同じですが、かつてのように腰を据えて仲間とおしゃべりしながらゲームをする場所ではなく、家族連れやカップルが立ち寄って軽く遊ぶ場所へと、役割そのものが変化したのです。

 30年ほど前には、ちょっとした駅や学生街の周りに無数に存在していた「電子音が鳴り響く薄暗い空間」は、もうわずかしか残っていないのです。

 なぜ、ビデオゲーム中心のゲームセンターがさらに減り続けているのか。ひとつめの理由としては電気料金の高騰が挙げられるでしょう。2021年秋ごろから電気料金が上がり始め、ロシアのウクライナ侵攻による影響により値上げの動きは加速、2022年だけでも2割上昇しています。電気を使用する大型の機材を必要とするゲームセンターが負担に耐えられないのは当然と言えるでしょう。

 もちろん、新型コロナウイルスの影響による売り上げの低下もダメージとなりました。また、古いゲームセンターの場合は設備・建物の老朽化や関係者の高齢化も深刻だったようです。苦しい状況でも頑張ってきた店主が、耐震化工事を期に「ここが潮時」と閉店を決めた例も散見されます。プライズ系機材が多い店舗の場合は郊外のゲームセンターを閉店し、都心や観光地といった人が多い場所での再開店を行う事例もあるようです。

【画像】雰囲気や客層も「別モノ」? 新旧ゲームセンターを比較(6枚)

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