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好きになれなかった? 『めぞん一刻』の「七尾こずえ」という負けヒロイン

高橋留美子先生の人気マンガ『めぞん一刻』では、主人公の五代裕作と音無響子が最終的に結婚するのは周知のとおりです。しかしそこまでには、数人の女性が五代に好意を寄せていました。なかでも「七尾こずえ」は、印象深い存在感を見せました。今回はいわば、負けヒロインとなった七尾こずえという女性にスポットをあてます。

積極的だが、話を聞かないヒロイン

こずえのようにポジティブな恋人なら、男も楽しいはずなのに……? 画像は七尾こずえが描かれる『めぞん一刻』新装版 第5巻 (小学館)
こずえのようにポジティブな恋人なら、男も楽しいはずなのに……? 画像は七尾こずえが描かれる『めぞん一刻』新装版 第5巻 (小学館)

 人気マンガ『めぞん一刻』の主人公、五代裕作と音無響子は最終的に結ばれますが、それまでには『七尾こずえ』という、五代に思いを寄せる女性がたびたびふたりの関係を引っかき回します。こずえはいわば「負けヒロイン」ということになりますが、そんなにダメな女性だったのでしょうか?

●うっとおしいほどの積極性と勘の悪さ

 同じバイト先で知り合ったこずえと五代。街で偶然再会したところから、こずえは異様な積極性をみせます。五代が響子を誘うために持っていた映画のチケットを目ざとく発見したこずえは「その映画みたい」とこぼし、映画デートにこぎつけます。

 しかもこの日には食事をしたり、腕を組んで歩いたりするなど、男なら勘違いしてしまいそうな行動をとります。というのも、五代はこずえの初恋の人に似ているため、彼女は好意をもったようです。

 以降もデートを繰り返すふたりは初詣に行ったり、プレゼントを交換したりと傍からみれば恋人のように見えますし、こずえ自身も友達に五代を紹介するなど恋人のような自覚はあるようでした。

 一方、五代は一貫して響子への好意は変わらないため、何度か別れを告げようとしますが、傷つけることへの配慮や、こずえ自身が話を聞かない性格であるため、うやむやに関係を続けていきました。

 こずえは、最後の最後まで五代が響子に好意をもっていることを知らず、いい意味で勘の悪さをもった女性でした。

●策士こずえ 家族を巻き込み五代を囲い込む

 こずえの積極性は、次第に五代を追い込みます。デートで五代にネクタイ着用をリクエスト。そこにメロンを持ったこずえが現れ、促されるまま到着したのはこずえの自宅。不意打ちで両親と弟を紹介され、メロンは五代の手土産にするという、策士ぶりをみせました。その後、五代は家族に気に入られ、食事に招かれるようになり、その歓迎ぶりに五代もドン引きしています。

●こずえが恋人ムーブしてしまうのには五代にも問題が

 こずえの思い違いは作中を通して続いていきますが、はっきり気持ちを言わない五代の言動にも問題があります。自分がこずえの初恋の人に似ていると知ったときは「ありのままのぼくを見てほしい」と言ってみたり、悩んでいるこずえに「おれにできることがあったら」と相談にのってみたり、祖母に会わせてみたりと思わせぶりなことをするため、こずえの恋人ムーブが加速していきます。

 客観的に見る六本木朱美は「こずえちゃんもかわいそーねー、期待もたされたまんまずるずると」と、核心をついた指摘をしています。

【画像】実は「七尾こずえ」と関わっていた脇役たち ひと目で「かわいい」と声に出して…(5枚)

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