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なぜ「リメイクアニメ」が増えている? 「知名度があるから有利」だけでなない、構造的理由とは

近年、増加している過去の名作の再アニメ化/リメイク企画。一体なぜこんなに増えているのか考察しました。

『スラムダンク』に『ダイの大冒険』90年代マンガのヒットが続く

映画『THE FIRST SLAM DUNK』ポスタービジュアル (C)I.T.PLANNING,INC. (C)2022 SLAM DUNK Film Partners
映画『THE FIRST SLAM DUNK』ポスタービジュアル (C)I.T.PLANNING,INC. (C)2022 SLAM DUNK Film Partners

 1990年代に一世風靡したマンガ『SLAM DUNK』の映画『THE FIRST SLAM DUNK』が大ヒットしています。

 実に26年ぶりに映像化され、かつてファンだった人が大勢映画館に詰めかけています。原作の色褪せない魅力といまだにこれだけ多くの人を魅了していることに驚かされた人もいるのではないでしょうか。

 近年、かつての人気タイトルをリメイクする動きが盛んです。現在、TVでは『うる星やつら』が放送中ですし、少し前には『SLAM DUNK』と同じく90年代に人気だった『DRAGON QUEST -ダイの大冒険-』も放送され、人気を博しました。来年には、『るろうに剣心』や『TRIGUN』などの再アニメ化も控えています。

 なぜ、このような旧タイトルを再びアニメ化する動きが増えているのでしょうか。そこには、日本社会の人口動態の変化とマーケティング的な事情が関わってると考えられます。

 リメイク企画の増加が何をもたらすのでしょうか、要因と波及効果を考えてみたいと思います。

●リメイク企画は固定ファンをベースに新規ファンを上乗せできる企画

 現在の日本のアニメ産業は、TVアニメが1シーズンに60本近く放送され、それに加えて劇場アニメや配信オンリーの作品があるという状況です。ものすごい過当競争にさらされていると言っていいでしょう。

 そのような状況で、新規のタイトルが注目を集めるのは非常に大変ですから、アニメ化前から知名度の高いタイトルが当然有利で、人気マンガを原作にした作品などが注目を集めやすくなっています。認知度の高いタイトルという点で、かつての名作もまた競争に有利な立場にあると言えますから、重宝されるのでしょう。

 また、『SLAM DUNK』は26年ぶりの映像化でしたから、20代や10代の人にとっては新規のタイトルも同然です。それでいて、40代の人にとっては青春時代に読んだ思い出の作品で懐かしさを覚えます。40代には懐かしく、20代・10代には新鮮な作品として売り出せるので、固定のファンをベースに新規ファンを獲得できるのがリメイク企画の、マーケティング的視点での優れたポイントです。

 例えば、『ダイの大冒険』は少年時代にマンガを読んだお父さんとその子供が、親子二世代で楽しんだという感想をSNSでも見かけます。日曜の朝の放送枠だったのもあって、子供と大人両方に訴求することに成功した例と言えるでしょう。

【画像】絵柄が違う! 注目のリメイクアニメたち (6枚)

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