熱量がすさまじかった『母をたずねて三千里』 スタッフにとんでもない3人がいた
1976年12月26日は、TVアニメ『母をたずねて三千里』の最終回「かあさんとジェノバへ」が放送された日です。イタリアのジェノバからアルゼンチンへと出稼ぎに向かい、病気になったという手紙を最後に音信不通となった母親を探すため旅に出たマルコが、苦難の果てに母親と再会し祖国へと戻るストーリーは、多くの人に感動を与えました。
宮崎駿・高畑勲・富野喜幸(現:富野由悠季)が顔をそろえた
1976年12月26日は、TVアニメ『母をたずねて三千里』の最終回「かあさんとジェノバへ」が放送された日です。イタリアのジェノバからアルゼンチンへと出稼ぎに向かい、病気になったという手紙を最後に音信不通となった母親を探すため旅に出たマルコが、苦難の果てに母親と再会し祖国へと戻るストーリーは、多くの人に感動を与えました。
数々の傑作名作で知られる「世界名作劇場」(当時は「カルピスこども劇場」)の第2作として製作された『母をたずねて三千里』ですが、いま改めてスタッフを見ると、驚くべき名前が次々と登場します。
監督・演出は『アルプスの少女ハイジ』で大きな注目を浴び、後に『火垂るの墓』を手掛けた高畑勲氏。場面設定とレイアウトはスタジオジブリの中核として『天空の城ラピュタ』や『となりのトトロ』などを手掛け、いまもアニメの歴史をけん引し続けている宮崎駿氏。そしてアニメの設計図である絵コンテを『機動戦士ガンダム』で知られる富野喜幸(現:富野由悠季)氏が最終回も含めて約20話分も担当するなど、現代に至るまで大きな影響力を持つ人物が顔をそろえていました。
さて、最終回のストーリーでは、マルコの苦難の旅が報われた姿が描かれます。前話「とうとうかあさんに」でついに母親のアンナと再会したマルコでしたが、アンナは病気のために危篤状態に陥っていました。しかしマルコの存在に励まされたアンナは周囲の助けもあり無事に回復します。いよいよふたりで故郷・ジェノバへと帰る日がやってきたのです。
お世話になった人たちに別れを告げ、マルコとアンナは汽車に乗ってロサリオへと向かいます。道中、コルドバのサン・イシドロ地区で仲良くなったパブロとフアナにひと目会いたいマルコが事前に連絡を入れておいたところ、ふたりは線路わきでマルコが来るのを待っていてくれたのです。汽車が通過するほんのわずかな時間に互いの名を呼び、手を振り、別れを惜しむ姿は、3人の間に本物の友情が宿っていたことを示す名シーンと言えるでしょう。