「スライムは最弱」←本来は強キャラだった? 有名モンスターたちの「実は知らない」素顔
スライム、ゴブリン、トロル、ゴーレム……『ドラクエ』や『FF』などのファンタジー作品でおなじみのモンスターたちのなかには、海外の創作や伝承からやってきたものも多く存在します。その本来の姿を紐解くことで、彼らが日本のファンタジー作品でどのように"翻訳"されたのかを見てみましょう。
有名モンスターたちの原点、ご存じですか?

スライム、ゴブリン、ゴーレム……今日のゲームやアニメなどでおなじみのモンスターのなかには、海外の創作や伝承に端を発するものが多く存在します。それらは日本の創作に登場するにあたって、どのように”翻訳”されたのか? 語り継がれていた本来の姿や特徴がどのようなものであったのかと併せて紹介します。
●“国内初最弱”は『ドラクエ』じゃない!?「スライム」
『ドラゴンクエスト』の愛らしいフォルムでおなじみのスライム。架空の生物として初めて登場したのはアメリカで1953年に発表された「Slime」という小説であるそうです。その後、スライムは同国で1974年に発売されたテーブルトークRPG『ダンジョンズ&ドラゴンズ』にも登場しますが、実は当時のスライムはとても危険な存在でした。
暗い洞くつの天井に張り付いていて、冒険者がその下を通りかかると音もなく顔に覆いかぶさり窒息させてくる、ゼリー状なので物理攻撃がロクに効かない、火には弱いが顔にまとわりついたスライムを焼こうとすると顔ごと焼けてしまう、武器や防具を腐食させてしまう……という感じです。怖……。
しかし、1981年にリリースされた3DダンジョンRPG『ウィザードリィ』を機に、ゲームでは「つつけば倒せそうな」ほど弱いスライムが登場するようになりました。そんなイメージを日本で最初に広めたのは1986年の『ドラクエ』第1作目……と思っている方も多いかもしれませんが、実はその2年前に全国のゲームセンターで稼動したアーケードゲーム『ドルアーガの塔』に登場するスライムも同様のザコモンスターでした。国産ゲーム初の「弱いスライム」は、『ドルアーガの塔』が最初であるといえそうです。
●こう見えても実は”妖精”である「ゴブリン」
スライムと並ぶ「ザコモンスター」として広く認識されているゴブリン。2022年12月5日にオックスフォード英語辞典を出版している英オックスフォード大学出版局が今年の言葉として「ゴブリンモード(Goblin mode)」を選出し、その意味を「悪びれもせず自堕落で、だらしなく、強欲な行動」と定義したように、基本的には人に害をなす存在です。
そんなゴブリンの原典は、ヨーロッパの民間伝承に登場する妖精です。妖精と聞くと『ピーター・パン』におけるティンカー・ベルのような「かわいらしく、人に好意的な存在」をイメージしてしまいがちですが、妖精には、まったくかわいくなく、かつ敵対的なものも含まれます。海外における妖精は、日本でいうなら妖怪に近いのかもしれません。また、伝承や作品によっては「いたずら好きながらも人を助けてくれる、手を貸してくれる」ようなゴブリンもいるそうですよ。