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年明けの「金ロー」は『ハウルの動く城』 派手な宣伝をやめた宮崎駿監督の真意は?

円熟期に入った宮崎駿監督は、アクション時代劇『もののけ姫』、ファンタジー大作『千と千尋の神隠し』を大ヒットさせ、興行記録を次々と塗り替えていきます。続く『ハウルの動く城』にも期待が集まりましたが、スタジオジブリが選んだ戦略は「宣伝しない宣伝」でした。宮崎監督はなぜ、派手な宣伝活動を避けるようになったのでしょうか。

ジブリ史上最年長のヒロイン

ヒロインはジブリ史上最年長!『ハウルの動く城』より (C)2004 Studio Ghibli・NDDMT
ヒロインはジブリ史上最年長!『ハウルの動く城』より (C)2004 Studio Ghibli・NDDMT

 ヒロインは、90歳の少女。美形の少年少女を主人公にすることが多いスタジオジブリ作品ですが、宮崎駿監督の劇場アニメ『ハウルの動く城』(2004年)は、腰の曲がった老女が活躍する異色作です。

 原作は英国のファンタジー作家、ダイアナ・ウィン・ジョーンズ氏の長編小説『魔法使いハウルと火の悪魔』です。増築に増築を重ねた奇妙な造形の「動く城」が、宮崎駿監督の手によって、おかしなクリーチャーとして4本足で荒野をさまよいます。倍賞千恵子さん、木村拓哉さん、神木隆之介さん、美輪明宏さん、我修院達也さんら個性豊かなキャストも話題を呼びました。

 宮崎駿監督の円熟のアニメーション演出が楽しめる『ハウルの動く城』が、2023年1月6日(金)の「金曜ロードショー」にて放映されます。作品をすでにご覧になった方のなかには、主人公のソフィーにかけられた「呪い」が、いつとけたのか気になった人もいるのではないでしょうか。

 一度見ただけではモヤモヤしてしまう、ソフィーにかけられた「呪い」ですが、二度三度と見返すことで「呪い」の正体が分かってくるはずです。少女を老女に変えてしまった「呪い」について考えてみたいと思います。

自己肯定感が持てずにいた主人公

 18歳の少女・ソフィーは、亡くなった父親が残した帽子屋でお針子として働いています。仕事部屋にこもりがちな、とても地味な毎日です。カフェの看板娘として働く妹のレティーからは「一生、あの店にいるつもりなの?」と問われ、ソフィーはうまく返答することができません。

 自分の人生に生きがいを見出せず、自己肯定感が持てないソフィーでしたが、街で魔法使いのハウルと出会ったことで運命が大きく動き出します。ハウルを追う荒地の魔女にソフィーは目をつけられ、なんと90歳の老女になる「呪い」をかけられてしまうのです。

 いきなりヨボヨボの老人に変えられてしまったら、誰しも絶望するでしょう。ところが、ソフィーは違いました。それまで周囲に対して遠慮しがちだったソフィーですが、歳をとったことであつかましくなり、生きることに前向きになるのです。18歳の頃よりも、積極的な性格に変わります。「動く城」に勝手に上がり込み、清掃婦として働き出すソフィーでした。

 見栄っぱりだけど実は臆病なハウル、ハウルの弟子・マルクル、ハウルと秘密の契約を結んでいる「火の悪魔」カルシファーたちとの共同生活が始まります。城のすぐ外には、カブ頭のカカシもいます。年齢も生い立ちもバラバラのハウルやソフィーたちですが、血のつながりのない「擬似家族」としてまとまっていきます。

 18歳のときよりも、生きることの楽しさを感じるソフィーおばあちゃんでした。

【画像】イケメン、ときに可愛い!ファンの間で分かれる「一番好きなハウル」(7枚)

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