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『わが青春のアルカディア』BS12で放映 自由を求める宇宙海賊は欧州で「視聴率70%」

ハーロックは、メーテルと対になる存在

水木一郎氏が主題歌を歌った、TVアニメ『宇宙海賊キャプテンハーロック』VOL.1 DVD(東映)
水木一郎氏が主題歌を歌った、TVアニメ『宇宙海賊キャプテンハーロック』VOL.1 DVD(東映)

 ハーロックたちが乗り込む宇宙戦艦は、「アルカディア号」という名称です。古代ギリシアの地名「アルカディア」に因んだものであり、理想郷を意味しています。ハーロックは自由を求め、自分が信じるものだけのために闘います。

 松本零士氏の父親・松本強さんは旧日本陸軍の将校で、戦闘機のベテランパイロットでした。強さんは終戦後マレー半島で2年間幽閉され続け、日本に帰ってきてからも公職追放のために仕事に就くことがなかなかできませんでした。

 戦争が終わって、ようやく平和な時代になっても、松本家は貧乏生活を強いられたそうです。松本零士氏は地元の高校を卒業後、家族を楽にさせたいとの想いからプロの漫画家になるために単身で東京へと上京します。このときの故郷を旅立つセンチメンタルな心境をSFマンガにしたのが、『銀河鉄道999』でした。

 たびたびアニメ化されている『銀河鉄道999』のヒロイン・メーテルは、松本零士氏が頭の中でイメージしていた「理想の女性」像をビジュアル化したものです。それに対して、闘う男・ハーロックは、松本零士氏の考える「理想の男性」像だと言えるでしょう。

フランスで「視聴率70%」 自由を求める気風に共感?

 欧州でも松本零士作品の人気はとても高く、特にフランスでは『キャプテンハーロック』が大変な評判だったそうです。TVアニメ『宇宙海賊キャプテンハーロック』は、フランスでは視聴率70%だったとも伝えられています。

 荒巻伸志監督のCGアニメ『キャプテンハーロック SPACE PIRATE CAPTAIN HARLOCK』(2013年)も、フランスでは日本以上に熱狂的に迎え入れられたそうです。さすが、自由を手に入れるためにフランス革命を起こしたお国柄です。

 原作マンガは、マゾーンとの戦いに決着がつかないまま終わっていますが、未完という終わり方がハーロックに関しては合っているように感じます。ハーロックには、ずっと宇宙を航海し続けてほしいものです。

 今回、BS12で放送されるのは劇場アニメ版のため、TVアニメ版の主題歌「キャプテンハーロック」は流れませんが、水木一郎さんの熱唱ぶりもぜひ思い出してみてください。

「ドクロの旗はおれの旗 おれの死に場所の目印さ」

 水木一郎さんがアニソンに捧げた魂は、きっと多くの主題歌とともに今後も生き続けていくのではないでしょうか。

(長野辰次)

【画像】びっしり描かれた計器類がカッコよかった! 松本零士のSF作品たち(10枚)

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