なぜTVアニメの放送遅延が発生するのか かつては「延期」ではなく「作画崩壊」だった?
近年、アニメ制作の遅れがニュースとして取り上げられることが多くなっています。ここ数か月でも『「艦これ」いつかあの海で』は4話以降の放送に大幅な遅れが生じ、『異世界おじさん』はいったん放送を休止して次クールに枠を新たに確保しましたが、最終話も放送が延期となりました。制作が遅れる理由にはどのようなものがあるのでしょうか?
アニメ制作はなぜ遅れるのか

近年、アニメ制作の遅れがニュースとして取り上げられることが多くなっています。ここ数か月だけでも『「艦これ」いつかあの海で』は4話以降の放送に大幅な遅れが生じ、2022年7月クールの『異世界おじさん』はいったん放送を休止して10月クールに枠を新たに確保しました。ところが、2022年12月29日放送予定の13話も放送延期となってしまいました。この2作品以外にも放送の延期や中止のニュースが当たり前のように流れており、本来予定されていたスケジュールを守ることが非常に難しい状況になっていることは明らかです。
なぜアニメ制作に遅れが生じているのか。現状、一番の理由は、やはり新型コロナウイルスの影響と言えるでしょう。新型コロナウイルスが猛威を振るうようになってから、アニメ業界は大きな打撃を受けています。打ち合わせ、脚本会議、作画、収録など、アニメ制作はさまざまな集団作業で構成されています。リモートでも作業は可能ですが、細かい部分のすり合わせが難しいのでどうしても成果物に齟齬(そご)が発生しやすくなってしまいます。当然差し戻しになる回数も増え、効率がかなり落ちてしまっているそうです。
また、アニメ制作には海外スタジオの協力が欠かせませんが、2022年の年末以降、中国でかなり大規模な流行が発生しており、予断を許さない状況です。おそらく2023年1月スタートのアニメにも、何らかの影響があると思われます。
しかしながら、制作の遅れは新型コロナウイルスの流行前からしばしば起こっていた出来事です。放送を延期できない場合、アニメとしての体裁を保てないほどに酷い状態で放送されることもあり、そのたびに物議をかもしてきました。
新型コロナウイルスを抜きにした場合、制作が遅れる大きな理由は人手不足です。アニメーターの数は限られており、なかでも腕が良い人となるとほんのひと握りしか存在していません。アニメの存在感が増していくなかで人の取り合いが発生し、必要な人材を確保できなかった場合は当然制作が遅れることになります。資金不足により人を集められないこともあるそうです。