『ドラえもん』の「公式」な最終回とは? 「切なすぎ」「都市伝説じゃなかった」
気になる『ドラえもん』の最終回は?

●最終回は3種類ある
学年が上がるごとに読者の対象が変わっていく「小学〇年生」で連載されていたため、『ドラえもん』の連載は基本、特に何ごともなく「次話に続く」ことが多かったのですが、実は藤子先生によって「ドラえもんとのび太の別れ」が描かれた、「最終回らしい最終回」も「3種類」存在します。
まずひとつめの最終回が、1971年の「小学四年生」3月号に掲載された「ドラえもん未来へ帰る」です。当時、『ドラえもん』が「小学五年生」「小学六年生」では連載されていなかったため、「小学四年生」を卒業する読者のために用意された便宜的な最終回ですが、今となっては「これがいちばん最終回らしい」という意見もあります。
このエピソードでは、未来人たちが野比家で好き勝手をした挙句、とうとう「時間旅行そのものが禁止」となり、ドラえもんが未来に帰る(というよりは強制送還)ことになりました。最後にドラえもんがのび太との別れを惜しんで泣き、のび太はもともとタイムマシンの入り口だった机の引き出しに関して、「ぼくは開けるたびにドラえもんを思い出すのです。」と語り、物語は終わります。後日譚もなく、切なすぎるこの「最終回」は、現在までアニメ化はされていません。
続いて、第2の最終回が1972年の「小学四年生」3月号に掲載された「ドラえもんがいなくなっちゃう?」です。このエピソードでドラえもんは、「このままだと、自分に頼ってのび太が駄目になってしまう」と泣く泣く未来に帰ります。ただし、翌1973年から『ドラえもん』が「小学五年生」「小学六年生」でも連載され、ドラえもんは予告マンガで、のび太を心配して未来から帰還しました。
そして第3の最終回が、1974年の「小学三年生」3月号に掲載された「さようなら、ドラえもん」です。ドラえもんが未来に帰ってしまうのは前述のふたつと同じですが、このエピソードはドラえもんを心配させまいと、のび太がボロボロになりながらジャイアンに立ち向かう、感動的展開も描かれています。
結局「小学四年生」1974年4月号に掲載された「帰ってきたドラえもん」で、ドラえもんは戻ってきました。ここでは、話した内容と反対のことが実現するひみつ道具のドリンク「ウソ800」を飲んだのび太が、「ドラえもんは帰ってこない」と言ったため、ドラえもんが帰ってくるという、はっきりした「理由付け」がされています。
実は、藤子先生は「さようなら、ドラえもん」を本当の最終回にするつもりだったそうです。その後、藤子先生が思い直して帰還エピソードを描いたため、『ドラえもん』は先生が亡くなるまで続きましたが、「本当の」最終回に相応しい感動的な物語になっています。この「さようなら、ドラえもん」と「帰ってきたドラえもん」は1998年の『のび太の南海大冒険』とセットで公開された映画『帰ってきたドラえもん』の原作になっており、多くの人びとの涙を誘いました。
「人に歴史あり」と言いますが、これだけ長く続いた作品にも当然、相応の歴史があります。さまざまなバージョンがあり、掲載誌も違ったため、世代によって、思い描く「最終回」もさまざまなようです。都市伝説的な話が出回るのもしかたないくらいの人気作『ドラえもん』ですが、これからも国民的コンテンツとして笑いと感動を届けてほしいものです。
(ニコ・トスカーニ)






