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参加者1万人突破間近! 歌舞伎町『龍が如く』体験型イベントは街を変える?

大人気ゲーム『龍が如く』の世界観を味わえるイベントが2018年7月から歌舞伎町で始まっています。イベントは盛り上がりだけでなく、街の新たなイメージも生み出しているようです。

体験型ゲームイベントが歌舞伎町を変えた

「2019年の年明けには、参加者が1万人に達する見込みです」

 2018年7月の開始から早5か月。東京・歌舞伎町を舞台にした体験型ゲームイベント『100億の少女誘拐事件』を手掛けるSCRAP(スクラップ、東京・渋谷)の担当者はこう話します。

『100億の少女誘拐事件』はシリーズ累計出荷本数1000万本の大人気アクションアドベンチャーゲーム『龍が如く』(セガゲームス)と、参加者が新人探偵となり、同じく歌舞伎町を駆け巡る、同社提供の体験型ゲームイベント『歌舞伎町探偵セブン』がコラボしたイベントです。

『100億の少女誘拐事件』のイメージ画像(画像:セガゲームス)
『100億の少女誘拐事件』のイメージ画像(画像:セガゲームス)

 イベントの参加者は、同社運営の謎解きテーマパーク・東京ミステリーサーカス(新宿)で配られた依頼書の指示に従い、バーやキャバクラ、ホストクラブなど、歌舞伎町の街に実在する施設や場所に足を運んで、聞き込みを行ったり謎や暗号を解いたりしながら、『龍が如く』の主人公・桐生一馬たちと協力して捜査を進め、事件の真相を解き明かしていきます。

「『龍が如く』のメインユーザーは、20代から40代までの男性」(セガゲームス)にもかかわらず、イベントの参加者は20代から30代が大半で、しかも女性の割合が6割を超えるといいます。

「イベントに来ているのは男女2人ずつのグループのような、いわゆる『リア充』な人たちが多い。雰囲気も『明るく楽しむ』感じ。イベントでトラブルが起きたという話も聞きません。組合加盟店の売り上げが増えたかどうかは現時点で分かりませんが、とにかく驚いています。これまでの歌舞伎町のイメージを払しょくしてくれてうれしいですよ」(歌舞伎町商店街振興組合)

「『龍が如く』の参加者の皆さまから、『ゲームの世界に入り込んだようで、歩いているだけで楽しい』とのコメントをいただいています。また、イベント開始に合わせて、当社のアミューズメント施設『セガ新宿歌舞伎町店』で、『龍が如く』グッズの特別販売を実施したのですが、イベントとの相乗効果で、通常の期間限定ショップよりも多くの方たちにご来場いただきました。本イベントは、『セガ新宿歌舞伎町店』含め、街全体へ波及する力を持っており、だからこそ、既存の遊びの枠に納まらない魅力があると感じます。」(セガゲームス)

『100億の少女誘拐事件』は若い女性参加者が多い(画像:SCRAP)
『100億の少女誘拐事件』は若い女性参加者が多い(画像:SCRAP)

 この変化は、歌舞伎町の光景を長年見続けてきた新宿区も好意的に受け止めています。区の東京オリンピック・パラリンピック開催等担当課は、次のように話します。

「新宿区は2005(平成17)年から、地元の商店組合や民間企業、警察、NPOなどと一緒に歌舞伎町を安心して楽しめる街に再生しようと、『歌舞伎町ルネッサンス』という取り組みを行ってきました。道路清掃といったハード面の整備のほか、『地域活性化プロジェクト』を立ち上げ、従来のマイナス部分を無くすだけではなく、プラスのメッセージ発信していこうとこれまで取り組んできました。

 特に2015年4月、新宿コマ劇場と新宿東宝会館の跡地に『TOHOシネマズ新宿』がオープンした頃から街の『見栄え』が変わり始め、2016年4月の歌舞伎町シネシティ広場リニューアル後(全面フラット化)、映画『シン・ゴジラ』のレッドカーペットイベント(2016年7月)やグルメイベントが行われるなど、好循環が続いています。若い人たちやインバウンド(訪日外国人)が増え、客層が変わったのもその頃からです。体験型ゲームイベントで街の回遊性も上がり、それが『歩きやすくなった歌舞伎町』のPRにも繋がり、新宿区としてはうれしい限りですね」

歌舞伎町のイメージ向上の先鞭となった「TOHOシネマズ新宿」(写真中央)(画像:写真AC)
歌舞伎町のイメージ向上の先鞭となった「TOHOシネマズ新宿」(写真中央)(画像:写真AC)

 そんな歌舞伎町で現在行われている『100億の少女誘拐事件』はいかに出来上がったのでしょうか。その背景を取材しました。

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