クズっぷりに嫌われがち主人公たち 自分のことは棚にあげたセリフに「お前が言うな」
作品作りをするうえで主人公は、作品の方向性が決まるなど、とても重要な存在です。ですが、マンガ作品のなかには、あまりのクズっぷりから読者の間で賛否が分かれた主人公もいます。この記事では、読者に好かれなかった主人公をご紹介します。
「クズ」なところが、逆に好き?

作品をつくるうえで欠かせない「主人公」。この存在によって作品の方向性やジャンルが決まっていきます。しかし、マンガ主人公のなかには読者の間で賛否が分かれるキャラもいます。この記事では、読者に嫌われてしまった主人公たちをご紹介します。
●一条楽 『ニセコイ』(著:古味直志)
あまりのクズっぷりで嫌われている主人公といえば『School Days』の伊藤誠を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか? しかし、伊藤誠に劣らないほど嫌われてしまった主人公がいます。それが『ニセコイ』の主人公・一条楽です。『ニセコイ』は10年前に約束を交わした少女を高校生になった楽が探そうとするお話です。ジャンルの違うヒロインが多数登場し、読めば推しヒロインが見つかります。そんな魅力的なヒロインが多かったこともあり、「はよ、覚悟を決めろ」「うじうじしているのがむかつく」など、嫉妬心から楽を嫌う読者が多いようです。
特にサブヒロインのひとり・マリーの結婚式をぶち壊したシーンでは、そのあとのフォローが一切なかったことで読者からブーイングがありました。楽から見れば「マリーにとって不幸な結婚」でしかなく、「助けたヒーロー」という認識だったかもしれませんが、読者は結婚相手が誠実そうな人物ということを知っていました。そのこともあり、「責任取れないのに何で邪魔したんだ!」と怒りの声もあがっています。
反対に「すがすがしいほどのモテっぷりが逆に良い」「こんな人生が良かった……」などと、楽の立場をうらやむ声もあがっており、ヒロインを想う読者とハーレムを築きたい読者とで、意見が分かれているようです。
●木ノ下和也 『彼女、お借りします』(著:宮島礼吏)

かわいらしいヒロインに囲まれている主人公といえば、『彼女、お借りします』の主人公・木ノ下和也もかなりの嫌われようです。『彼女、お借りします』は、お金を払って彼女をレンタルする大学生・和也を描く物語で、2022年にドラマ化もされた作品です。和也はなんでも土下座すれば解決するだろう、と考えていそうな人物で、見栄っ張り。特に、初期の頃の和也の行動を嫌う読者が多いようです。
仕事としてやってきた「レンタル彼女」に対して勝手に好意を抱き、優しい対応が自分だけではないと知り、勝手に失望。あげくのはてに「好きでもないのにデートをして金もらうのに抵抗はないの?」などと、説教を始めます。このシーンを読んだ読者は「自分のことは棚にあげるのか……」と、あきれた様子です。
ストーリーが進むにつれて、「良いやつ感」が増し「気持ち悪さ」は気にならなくなってくるため、「ポンコツすぎてかわいい」「クズだけどまっすぐなところが憎めない」という意見もありました。
●佐々木哲平 『タイムパラドクスゴーストライター』(原作:市真ケンジ、作画:伊達恒大)
『タイムパラドクスゴーストライター』は、ひょんなことから10年後の未来に発売されるはずの「週刊少年ジャンプ」を手に入れた主人公・佐々木哲平が、そこに掲載されていた『ホワイトナイト』(作:アイノイツキ)を盗作するお話です。
佐々木哲平が読者に嫌われた理由は、十年後に連載されるはずだった『ホワイトナイト』を盗作したから、ではありません。一度の過ちでとどまっていれば、読者からここまで嫌われることはなかったでしょう。しかし、倫理的によろしくないはずの盗作を都合のいい妄想で正当化し、それを描き続けたのです。この行動に読者は「道徳の授業、ちゃんとしたほうがいい」「邪悪すぎる」と、マイナスな意見を述べています。
しかし、読者たちの倫理観は正常なようで、実在しそうな名前である「佐々木哲平さん」に対する配慮をうかがわせる読者が多いです。「佐々木哲平」で批判するのはよろしくないだろう、と呼び方を「パク平」「盗平」などと、あだ名に変えていました。
●松坂さとう 『ハッピーシュガーライフ』(著:鍵空とみやき)

『ハッピーシュガーライフ』は、かわいらしい画風とは正反対なヤンデレ少女の愛の物語です。登場人物がほとんどクズなことと、キャラそれぞれの「愛情表現」がえぐい、と話題を集めました。
特に、主人公の松坂さとうの想像を超える、ぶっ飛んだ行動の数々には恐怖を感じた読者が多いようで「イラストにだまされた」「トラウマ級に怖い」という声がありました。さとうを「嫌い」という読者の多くは、ことごとく運の悪い、しおの兄・あさひへの同情心からさとうを嫌うようになったようです。
しかし、「かわいい絵柄とえぐいストーリーのギャップが最高」「さとうの狂気じみた愛情にハマる」などと、さとうのヤンデレ具合でハマった読者も多いようです。
(マグミクス編集部)