おろち 、ミサ、富江…恐怖マンガの「三大美女」 怖いけど惚れる、魔性のヒロイン像
思春期の頃に出会ったマンガやアニメのヒロインは、誰しも忘れられないもの。なかでもホラー系のヒロインは、ひときわ印象に残っています。恐怖マンガの世界で絶大な人気を誇っているのが、『おろち』『エコエコアザラク』『富江』の美少女たちです。実写映画化されることも多い、謎めいたヒロインたちの魅力を振り返ります。
怖いほど美しい、恐怖マンガ界の美少女たち
「美少女×恐怖マンガ」。こんなにもゾクゾクする組み合わせは、そうそうありません。そして、ホラー漫画のヒロインと聞くと、おろち、黒井ミサ、川上富江の3人を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
楳図まこと氏の『おろち』、古賀新一氏の『エコエコアザラク』、伊藤潤二氏の『富江』は、どれも美少女ヒロインの妖しい魅力が忘れられない名作マンガです。旬の人気女優を起用した実写映画も、それぞれ制作され、話題を呼びました。
美少女の整った顔が恐怖で歪むシーンも目を惹くものがありますが、おろち、ミサ、富江のBIG3には得体の知れない不気味な美しさがあります。怖いけれど、彼女たちから目が離せません。そんな恐怖マンガ界の3大ヒロインを、ドキドキしながら振り返りたいと思います。
年をとらない永遠の美少女『おろち』
2022年には東京と大阪で「楳図かずお大美術展」が開かれ、健在ぶりを見せた楳図かずお氏。天才漫画家・楳図氏が生み出した美少女ホラーの傑作が『おろち』です。おろちは年齢不詳で、不思議な能力を持っており、家政婦や看護師などをしながら、人間の営みをずっと見つめ続けているミステリアスな美少女です。
吸い込まれそうになる、大きく美しい瞳が印象的な『おろち』は、1969年~71年に「週刊少年サンデー」に連載されました。それまでにも数々の恐怖マンガを描いてきた楳図氏ですが、『おろち』にはサイコホラーとしての面白さがあります。人間の心がさまざまな事件を引き起こし、おろちは好奇心から事件に巻き込まれていきます。事件内容がおぞましければおぞましいほど、おろちの美しさが際立って感じられます。
鶴田法男監督による実写映画『おろち』(2008年)は東映系で全国公開され、美人姉妹役を演じた木村佳乃さんと中越典子さんが壮絶バトルを繰り広げました。おろち役には、『カナリア』(2005年)や『死にぞこないの青』(2008年)などで好演した谷村美月さんが起用されています。
右手に包帯をし、100年に一度の長い眠りに就く不老不死の美少女・おろちとは、何者なのでしょうか。大蛇のことを「オロチ」と呼びますが、楳図氏の初期代表作『へび少女』と関連があるのでしょうか。謎が多ければ多いほど、おろちのことが気になってしまいます。