「はじめてのチュウ」はED?OP? 「意見が割れる」不思議の理由とは?
TVアニメ『キテレツ大百科』の楽曲「はじめてのチュウ」はオープニングかエンディングか? それを問うと、なぜか答えが割れるという不思議な現象が発生してしまいます。その真相は……?
「はじめてのチュウ」をめぐる夜も眠れない奇天烈現象
アニメ『キテレツ大百科』(原作:藤子・F・不二雄)は、1988年から1996年にかけて放送された平成初期を代表する長寿アニメです。さて、この『キテレツ大百科』という作品を主題歌と共に記憶している方も多いでしょう。「お料理行進曲」や「スイミン不足」といった当時からして斬新な歌詞内容だったものからTOKIOの「うわさのキッス」など情熱的なラブソングまで、どれも印象的な曲ばかりでした。
なかでも人気の高い曲といえば「はじめてのチュウ」です。「あんしんパパ」こと実川俊晴さんによる大名曲。特殊加工を施したかわいらしい歌声とピュアな詞が、多くの人の心を射止めました。
さて、この「はじめてのチュウ」ですが、果たして『キテレツ大百科』のオープニング曲だったでしょうか? それともエンディング曲だったでしょうか? この質問は、人によって答えが違ってくるという不思議な現象が起きるのです。
例えば、筆者からすればエンディング曲です。青や緑の背景にコロ助がモジモジしたり、泣いたり笑ったりする映像が今でもはっきりと浮かびます。
一方、オープニング曲だったと答えた方も「みよちゃんにキテレツ、ブタゴリラ、トンガリ、コロ助の面々が宇宙を漂いながら求愛する」という(極めて夢的な)映像をはっきりと記憶しているようです。
なんだかアニメ『ドラえもん』の都市伝説回「タレント」のような様相を呈してきました。果たしてどちらかが夢を見ていたのでしょうか。いいえ、どちらも起きていました。答えはとても簡単です。「はじめてのチュウ」はオープニング曲でもあり、エンディング曲でもあったのです。
まず「はじめてのチュウ」は1990年4月から10月の半年間、オープニング曲として使用されました。「みよちゃんに宇宙で求愛する映像」は夢でもなんでもなく普通に放送されていたものでした。そしてオープニングが「スイミン不足」に切り替わったタイミングで「はじめてのチュウ」はエンディングに移行したのです。その後、エンディング曲は「HAPPY BIRTHDAY」→「はじめてのチュウ」→「うわさのキッス」→「はじめてのチュウ」という変遷を辿ります。
1988年から1996年と実に8年にもわたる放送期間のなか、メイン視聴者層である子供たちが成長して入れ替わったことで、このような不思議な現象が生じた、と見るのが妥当でしょう。オープニングであろうとエンディングであろうと「はじめてのチュウ」は間違いなく『キテレツ大百科』を代表する主題歌なのです。
(片野)