アニメ美術の巨匠本人が語る山本二三美術館の魅力「私の変化を見れる他にない場所」
アニメ映画の名作『天空の城 ラピュタ』や『もののけ姫』などの美術監督を務めた山本二三さんの美術館「五島の雲 山本二三美術館」が、2018年7月に五島市(長崎県)に開設されました。同年、アニメツーリズム協会は美術館を「訪れてみたい日本のアニメ聖地88」に選出しています。世界遺産登録で注目を集める五島列島にある同館の見どころと五島の魅力について山本さん本人に話を聞きました。
アトリエの再現や二三雲を体感できるコーナーも
アニメツーリズム協会は2018年10月、「訪れてみたい日本のアニメ聖地88(2019年版)」を発表しました。これは、国内外のアニメファンを対象にインターネット投票を実施し、その結果をもとにアニメ業界や地域の関係者などとの協議を経て選んだものです。そのひとつに、五島列島の福江島(長崎県五島市)にある「五島の雲 山本二三美術館」が選出されました。
美術館は2018年7月1日オープンしました。山本二三さんは『天空の城 ラピュタ』や『もののけ姫』などの美術監督を務めたアニメーション映画・美術家です。五島市出身で、同館には山本さんの描いた背景画や、五島を描いたオリジナルの絵画など約80点を展示しています。
美術館開設の経緯について中村真由美館長に聞いたところ、近年観光客が増加傾向にあるなかで観光ポイントを増やしたいと考える五島市と、故郷のために何か貢献できないかとの想いを抱いていた山本さんとの間でこの話がまとまったといいます。五島市には美術館がないことも、両者の想いが一致した点だそうです。
建物は、1863年に建てられた武家屋敷「松園邸」を改修して造られました。松園邸は、藩政時代における30石取りの家臣の屋敷。くぎ隠しや大きな梁、門構え、庭園や石垣など、あちらこちらに武家屋敷の名残があり、五島の歴史を感じられる美術館であるとしています。
館内には、山本さんのアトリエを再現したコーナーや、二三雲(山本さんの描く迫力ある独特な雲)を体感できるコーナーなども設けています。
「玄関を入ってすぐの部屋が山本氏の代名詞である二三雲を表現しています。6台のプロジェクターを使用し、雲を晴れた空の雲から夕方の雲までをガラスの天井に流しているのですが、これは子供さんたちにも喜んでもらっています」と中村館長は話します。