『ジャンボーグA』放送から50年 当時は前代未聞の「主役交代劇」に子供は興奮!
1973年の放送開始から50年も経つ『ジャンボーグA』。重いテーマを持つことが多い円谷プロ作品のなかにあって、子供にも楽しめる明朗快活なストーリーが人気でした。さらに特撮ヒーローとして先駆けとなる試みにも挑戦しています。
「ウルトラ」シリーズとの差別化で明るさをメインにした作劇
本日1月17日は、1973年に特撮ヒーロー番組『ジャンボーグA(エース)』が放送開始された日です。今年、2023年で半世紀の時が過ぎました。「ウルトラ」シリーズで有名な円谷プロが製作した、当時としては斬新だった特撮ヒーローの見どころについて振り返ります。
本作『ジャンボーグA』は、同年に放送開始した『ファイヤーマン』や『ウルトラマンタロウ』と同じく、「円谷プロ創立10周年記念番組」として製作されました。しかし、その原型となる企画は『ウルトラマン』が製作された1966年にまでさかのぼります。
この時、円谷プロが小学館との雑誌企画用に作られ、後に小学館の学年誌に連載を始めたのが1970年、『ジャンボーX(エックス)』という巨大ヒーローマンガでした。この時代は『ウルトラセブン』と『帰ってきたウルトラマン』の間にあたり、ウルトラヒーロー不在の時代にウルトラ怪獣と戦うマンガとして人気を博します。
実はこの、TV放映前に小学館の学年誌で連載するというのは『ミラーマン』が先駆けで、このミラーマンも『ジャンボーX』同様にTVとは違うデザインのヒーローでした。ともに雑誌掲載から3年ほど経ってから、TVで活躍することとなります。
前述した通り、円谷プロ創立10周年記念番組として製作された『ジャンボーグA』は、他の円谷プロ作品との差別化で、明るいヒーローものという方向性でした。そのため、主人公である立花ナオキはこれまでの主人公にいなかった直情的で無鉄砲、時には身勝手な行動も目立つ欠点の多いキャラクターとなります。
このナオキの人間的成長を描くという点は、当時人気のあった青春モノの流れでしょう。また特撮ヒーローものとして珍しかったのが、戦闘中にヒーローと主人公が同時に存在することです。これまでの特撮ヒーローのほとんどは変身して戦うのが基本、その際に主人公の姿はありません。ところが本作はナオキがジャンボーグAの操縦席にいることで同時に存在しています。
この点が、変身して巨大化する他のヒーローたちと一線を画すところ。同時期に人気だった巨大ロボアニメの先駆けとなる『マジンガーZ』と奇しくも同じスタイルでした。余談ですが、昨今の『ウルトラマン』がこの『ジャンボーグA』とまったく同じ、巨大ヒーローと主人公が同時に存在するパターンをニュージェネレーション以降続けています。いかに『ジャンボーグA』が先駆的存在だったか分かるでしょう。
ちなみに「ジャンボーグ」とは、巨大を意味する「ジャンボ」と、機械人間を意味する「サイボーグ」を合わせた造語。劇中でも「巨大サイボーグ」と呼ばれるシーンがありますが、これにはふたつの解釈があります。ひとつは当時まだロボットやサイボーグという存在があいまいだったこと。もうひとつはロボットであるジャンボーグに人間であるナオキが組み合わさることで「人機一体」、サイボーグとなるという説です。