平成『ガメラ』第1作がBS12で放映 特撮新時代を呼んだ、精鋭スタッフらの熱量
巨大な亀の怪獣ガメラが大暴れする大映映画『大怪獣ガメラ』は、昭和時代に計8作が制作された人気シリーズでした。東宝の『ゴジラ』に比べ、B級感のある怪獣映画でしたが、平成ガメラはそんなイメージを一新します。リブートされた『ガメラ 大怪獣空中決戦』は、のちの特撮作品に多大な影響を与えることにもなります。
『シン・ゴジラ』『シン・ウルトラマン』にも影響?
「日本の夜明けぜよ」
幕末を舞台にした時代劇で、坂本龍馬がよく口にするセリフです。日本の特撮映画界にも、新時代をもたらしたと言ってよい作品があります。金子修介監督の『ガメラ 大怪獣空中決戦』(1995年)です。
東宝の看板映画『ゴジラ』(1954年)に比べると、大映が制作した昭和版『大怪獣ガメラ』(1965年)は、後発作品ゆえのB級っぽいイメージがありました。平成時代にガメラが復活すると聞いたときも「今さら?」と感じたものですが、そんな先入観を『ガメラ 大怪獣空中決戦』は見事に粉砕してみせたのです。大人が観ても楽しめる SF作品として、バージョンアップされていました。
平成ガメラが成功したことで、『シン・ゴジラ』(2016年)や『シン・ウルトラマン』(2022年)が生まれたと言っても過言ではないでしょう。
2023年1月22日(日)のBS12では、19時から「日曜アニメ劇場 特別編」として『ガメラ 大怪獣空中決戦 4Kデジタル修復版』が放映されます。怪獣映画の水準をいっきに引き上げた平成ガメラの魅力を振り返ります。
アニメ&特撮界の精鋭たちが集結
金子修介監督は「オタク」第一世代の映画監督として知られています。日活の社員時代に、人気スポ根マンガ『エースをねらえ!』のパロディ映画『宇能鴻一郎の濡れて打つ』(1984年)で、監督デビューをはたしています。東京学芸大では映像芸術研究会に所属し、押井守監督はサークルの先輩にあたります。マンガに詳しく、アイドル好きであり、オタク的要素をうまくエンタメ作品に昇華させる腕を持つ監督です。
脚本は『機動警察パトレイバー the Movie』(1989年)などで知られる伊藤和典氏です。特技監督に抜擢された樋口真嗣氏は、一躍売れっ子となりました。怪獣デザインは「エヴァンゲリオン」シリーズにも参加している前田真宏氏です。アニメ&特撮界のやる気に満ちた精鋭たちが、金子監督のもとに集結しました。
子供向けの印象が強かった昭和版ガメラから、平成ガメラはがらりとイメージが一新されます。SF的リアリティに裏付けされた平成ガメラが、宿敵ギャオスを追って福岡、木曽、富士山麓、東京と日本列島を横断しながら戦うことになります。テンポのよい演出です。
鳥類学者・長嶺真弓役に中山忍さん、ガメラと心で交流する女子高生・草薙浅黄役に藤谷文子さんが起用されています。Wヒロインのかれんさも忘れられません。