世界初!? 900年の歴史を誇るお寺が「ドローンレース」を開催したワケ
日本国内でも、よく耳にするようになってきた「ドローン」。最近ではレース競技として大会が開催されるようになりました。世界初の"ドローン寺"の住職に話を聞きました。
ドローンになったような「FPVドローンレース」
最大時速100kmを超える速さで空を舞うドローン。その操作性や速さを競うのが「ドローンレース」です。国内でも近年大会が全国各地で開催され、少しずつ競技人口を広げています。
2019年1月19日(土)に、広島県府中市にある寺院、釈迦院でドローンレース「FPVマイクロドローンレース|JDRA TINYWHOOP JAPAN CUP No.17 in 広島府中」が開催されました。
今回開催された大会は「FPVドローンレース」と呼ばれるものです。ラジコンヘリのように、目視で操作するのではなく「FPVゴーグル」という専用のヘッドマウントディスプレイを頭部に装着し操作します。
ディスプレイには、ドローンから見える映像がリアルタイムで配信され、さも自分自身がドローンとなり空を飛んでいるような感覚を味わうことができるというもので、「この迫力と興奮は、一度知ったらやめられない」という声も。
このレースで使用するドローンは、25gの超軽量の「マイクロドローン」という種類で、仮にドローンに当たってしまっても痛くはない安全なモデルです。
「ドローンレース」で町おこし
開催場所の広島県府中市にある釈迦院は、900年の歴史を誇る由緒ある寺院です。ドローンと寺院と言えば、2015年に長野県の善光寺で、行事の最中にドローンが落下し問題となりましたが、本大会は「地域の発展のために高等教育機関を誘致する」という目的で活動している「ふちゅう大学誘致の会」と釈迦院の藤井住職が中心となり開催されました。
藤井住職は、2年ほど前に「ドローンレース」を動画で知り、現在では自身も「ドローンレース」に参加するなど積極的に活動しているそうです。今回の開催に際しても、ほとんどの業務をご自身一人でこなしたと話しています。
本大会は、レースのほかドローン体験会、マイクロドローンによる空撮コンテストといった内容で、まだドローンに触れたことのない親子連れや、小中学生が多く来場しました。体験会を含めた参加者の総数は300人ほど、レースにエントリーしたのは住職も含め18名だそうです。
お寺の本堂にドローンが通過するチェックポイントや、コースを彩るLEDライトを設置。普段は御勤めで使用する宮殿や磬子(けいす)でさえもコースの一部となっています。レーススタート前には、本尊の前にドローンを並べ、ドローンの安全祈願をしました。
見事レースを優勝したのは、中学生の小澤諒祐さんで、各大会で優勝している凄腕の選手です。大会は、大盛況のうちに終了しました。
世界初の”ドローン寺”となった釈迦院に地元の方からは驚きの声が上がった模様。寺院のこうした取り組みは、長野県小布施町にある寺院、浄光寺がスラックラインの施設を設置したことで、町おこしになったという例があります。「eスポーツのように普及していければ」と語る藤井住職は、ドローンレースを通して、地域に貢献していきたいとしています。
(マグミクス編集部)