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自治体にも反響、異色の”狩猟系マンガ”『罠ガール』が伝える獣害対策のリアル

KADOKAWAから発売中のマンガ『罠ガール』。"女子高生"×"狩猟"というコンセプトが各方面で話題になっています。特に、農業に従事している人たちからの支持は圧倒的です。

ただの"狩猟系マンガ"ではない

 明治末期の北海道を舞台にしたマンガ作品『ゴールデンカムイ』(野田サトル/集英社)には、熊や野うさぎを狩猟して食べるシーンが多く登場し、緻密な取材に裏付けされたリアリティある表現は”狩猟系マンガ”と呼ばれています。
 
 一方、”女子高生”と”狩猟”という一見関連性のなさそうな組み合わせのマンガ作品『罠ガール』(緑山のぶひろ/KADOKAWA)が、農業に従事する人たちの間で話題です。

 ジャンルのひとつになった”狩猟系マンガ”ですが、どういったポイントが人気の秘訣なのでしょうか。『ゴールデンカムイ』では、明治初期の北海道の様子のほか、あまり知られていない「アイヌ民族」の伝統的な生活が描かれます。自然を崇拝する独自の文化は、読者にとって新鮮に見え、作品を読み進めるなかで自然に関する知識が増えていくことが魅力になっています。

『罠ガール』もまた、同様のことが言えるでしょう。特に都会に住む読者にとって、獣害やそれに対する地域の対策、人間と自然との関わりなどの文化は、惹きつけられるものがあるでしょう。

『罠ガール』第3巻(KADOKAWA)
『罠ガール』第3巻(KADOKAWA)

『罠ガール』は、月刊誌「電撃マオウ」(同)で連載中のマンガ作品。狩猟といっても、上記の『ゴールデンカムイ』とは違って、獣害から畑を守るための「狩猟」です。

 本作品では、大切に育てた農作物をイノシシやシカから守るために、主人公で女子高生の朝比奈千代丸らが奮闘する姿が描かれます。

 話題になっているのは、その内容のリアルさにあります。当初ドタバタコメディになる予定だった本作品ですが、作者の緑山のぶひろさんが農家の生まれで、自身も「わな猟免許」を所持することから、リアルな日常を描くというコンセプトに固まりました。

獣害の対策を頑張っている地域の人たちを知ってもらえたら

 同作品の3巻に登場する、猿による獣害について取材協力した兵庫県・篠山(ささやま)市は「農都宣言」を掲げている国内有数の農業が盛んな都市。

 市の4分の3が森林で、基幹産業である農業に従事している市民が多く、獣害に長く悩まされてきました。被害額は年間約1700万円にのぼります。

 獣害を防ぐだけではなく、身近な自然と共存することを目指して行政と住民が団結し、獣害に向き合ってきました。柵を設置するなど、害獣をただ駆除するわけではなく、「人間のテリトリーと自然との境界を学習させることが重要」と担当者は話します。

 兵庫県県下では、獣害は年々少しずつ減ってきており、さまざまな組織や団体が、動物を絶滅させないようにコントロールしながら最低限の駆除を行っています。 

 今回そのような取り組みが『罠ガール』に掲載されたことで、同市は「マンガというツールを通して、世代に関係なく、獣害の対策を頑張っている地域の人たちを知ってもらえたら」と話しています。

(マグミクス編集部)