「ファミコン世代」の親にゲームを買ってもらう交渉術 「仲間外れにされちゃう!」
黎明期だったファミコン時代。子供にとってゲームは憧れの的であり、同時に高嶺の花でもありました。お小遣いだけで買うには高く、また辛抱もしきれません。だからこそ親にねだり、買ってもらうためにアレコレと手を尽くしました。
ゲームをめぐる、親と子供の攻防戦!
ゲームの面白さは老若男女を問わず、幅広い世代の人々が多彩なゲームライフを楽しんでいます。ですが、肝心のゲームそのものを購入するハードルの高さは、世代によってまちまち。社会人なら日々の稼ぎから購入費の捻出が可能ですし、大学生や高校生はバイトの有無で買いやすさに大きな差が出てきます。
これが中学生や小学生となると、そのハードルは一気に跳ね上がることに。お小遣いを貯めるとしても、その間ゲーム以外の誘惑に耐え続けなければなりません。また、誕生日やクリスマスのプレゼントとしてリクエストするのもアリですが、年に数回しか使えない手段なので、多くのゲームを遊びたい場合は他の手立ても必要です。
近年に限れば低価格で楽しめるインディーゲームが数多く出ているので、そうしたゲームを中心に遊べばさほど懐は痛みません。しかし、安価なダウンロードゲームなどがない時代……特に、ファミコンが現役だった頃の小学生たちは、新たなゲームを手に入れるのにかなり苦労しました。
小学生のお小遣いだけで賄(まかな)うには、少々高嶺の花だったゲームソフト。そのため新しいゲームを手に入れるには、親との交渉がほぼ必須でした。果たして当時の少年少女は、どんな交渉術で親を説得したのか。在りし日の彼らの行いを振り返ってみます。
●取り引き、泣き落とし、駆け引き……ゲームのために頑張ったあの日々
発売直後のゲームや人気の高い作品を買うには、ざっと4、5千円ほどかかります。小学生のお小遣いではなかなか太刀打ちできない額なので、親(もしくは祖父母など)に出してもらうのが基本的な道のりとなります。
しかし「ゲームが欲しい」と言ったところで、ほいほい買ってくれるような親はまずいません。むしろ当時は、家庭用ゲーム機そのものが目新しく、当時の親世代には「よく分からないけど、勉強もせずに没頭する悪しき存在」といった認識が少なからずありました。
そこで、まず順当な交渉術として選ばれたのが、いわば取り引きの提案。「毎日勉強する」「宿題済ませてから遊ぶから」「お風呂掃除を毎日やるよ!」と、お手伝いや勉強に励むといった条件と引き換えに、新たなゲームの購入をおねだりしました。
親からすれば、ゲームに熱中して勉強しなくなるのが最大の懸念事項。その不安が払拭されるなら……と考え、その交渉に応じる場合もあります。しかし、有限実行となるかどうかはケースバイケース。まったく約束を守らずに遊び続けてしまい、同じ手が二度と使えなくなる子供も後を絶ちませんでした。まさに自業自得です。
また、泣き落としで迫る交渉術もありました。「みんな持ってるのに、自分だけ持ってない」「一緒に遊べなくなっちゃう」など、学校での人間関係に影響すると告げ、情に訴える手です。
今と違い、当時はインターネットなどありません。子供たちの間で何が流行っているのか、それを知らないと話題に入れず人間関係に影響を及ぼすほどなのか。そうした情報は今ならネットで調べやすいものの、当時は判断しにくい一面がありました。
親から見れば、実態を図りかねる子供社会。その不透明性を活かし、「遊んでないと仲間外れにされちゃうから」と迫る交渉術は、親の弱みを突いたやり方と言えるでしょう。こうした盛り過ぎる訴えは、今考えれば問題しかありません。反省しきりです。