誰? 名前もわからないけど尊敬しちゃうキャラ 「記憶にこびりつく」
ファンから尊敬を集める人気キャラは、数々の作品に多数存在します。そのなかには、主人公や主要キャラに大きな影響を与えたり、インパクト大な戦いをしたのに、名前すら明かされていないキャラもいるのです。今回は、そんな名前もわからないのに、人気キャラを紹介します。
彼がいなければ現在の自分はなかった……主人公を助けた名もなき重要人物
自己犠牲や英雄的行動で、主人公や主要キャラに影響を与えたキャラが、ファンの間で話題になるケースは多々あります。しかし、そのなかには、作中で名前が明かされておらず、通称を使って愛されているキャラもいました。
●リーゼントの少年『ジョジョの奇妙な冒険』第4部
『ジョジョの奇妙な冒険』第4部の主人公・東方仗助の大きな見た目の特徴といえば、リーゼントです。連載当時でもオールドファッションだった仗助の髪形ですが、そこには名もなきヒーローとの出会いが関係していました。
幼少期、DIOの呪縛が原因で高熱を出した仗助は、猛吹雪のなか、母親の車で病院に向かっていました。しかし、雪で車が立ち往生してしまい、仗助は命の危機に見舞われます。そこに、リーゼントで学ランを着た少年が現れ、学ランをタイヤの下に敷いて車を抜け出させました。命を救われた仗助は、感謝と憧れから、少年を真似たリーゼントヘアを貫くようになったのです。
このリーゼントの少年が、たまたま行った人助けのおかげで、仗助の「黄金の精神」は育まれました。つまり、街を脅かす殺人鬼・吉良吉影に、仗助が立ち向かえた理由には、彼の存在が大きく影響しており、名もなき重要人物としてファンの間で認知されています。
『ジョジョの奇妙な冒険』では、他にも警官時代のアバッキオをかばって殉職した同僚や、たったひとつの出来事をきっかけに、虐めや虐待で苦しむジョルノを救い、一人前の人間として見守り続けたギャングなど、主役級の人間に影響を与えた、とてもかっこいい名もなき重要人物が登場しています。
●旅の博徒『グラップラー刃牙』
人気格闘マンガ『刃牙』シリーズで、第1部『グラップラー刃牙』から登場するヤクザ・花山薫は、同シリーズ屈指の人気キャラです。彼の背には、鐘を背負う旅の博徒の「侠客(おとこ)立ち」の刺青が彫られています。敵対する組の事務所を襲撃し、敢えて敵に背中を斬られることで刺青に巨大な傷跡を残し、斬られている「侠客立ち」にしたり、致命傷になりうる一撃を「侠客立ち」が彫られた背中で受けて負けたりと、印象的なエピソードを持つ花山の刺青ですが、その由来は、江戸時代の名もない「旅の博徒」の命を賭した行動でした。
江戸時代、豪農だった花山家は、財産を狙った盗賊に襲われ、一族皆殺しの危機に陥ります。大人たちが次々と殺され、残るは跡取り息子の弥吉のみとなりました。その時、その夜たまたま花山家に宿を借りていた旅の博徒が、弥吉を守るべく、彼に寺の鐘をかぶせて背負ったのです。博徒は、盗賊から何度も斬りつけられますが、微動だにせず、弥吉を入れた鐘を背負い続けました。
やがて、夜が明け、博徒が立ったまま死んでいることに気付いた盗賊たちは、敵ながらその壮絶な最期に感銘を受け、弥吉を見逃し、逃走しました。一晩宿を借りただけの博徒の犠牲によって救われた弥吉は、自身も博徒に身を転じると、感謝の気持ちを込めて、彼の勇姿を「侠客立ち」の詩と、背中の刺青として子孫に伝えるようになったのです。
花山は勝っても負けても心に残る、名勝負を繰り広げてきました。相手が武器を使おうとも攻撃をすべて受けきり、倒れた相手には止めを刺さない彼のスタイルの根底にある「旅の博徒」は、作品においてもとても重要な人物です。「侠客立ち」の説明は『刃牙』シリーズ本編で3回、花山が主人公の『バキ外伝 疵面』でも登場し、名物となっています。