ゲーム実況の「ライブ配信」プロは何がすごいのか 視聴者の心をつかむ秘訣とは
ゲーム実況が市場を拡大するなか、視聴者とリアルタイムにやりとりしながらプレイする「ライブ配信」で収益を得て活動するプロゲーマーも活躍しています。多くの視聴者を虜にするライブ配信には、どのような工夫や努力があるのでしょうか。
ライブ配信を中心に活動する「ストリーマー」
ゲームのプレイ内容を動画配信する「ゲーム実況」は近年、市場が拡大しています。KADOKAWAの調査によると、2017年の世界ゲーム配信動画市場は46億米ドル(約5060億円)と推計され、すでに多くの実況者が収益を得て活躍する分野となっています。
ゲーム実況には、ストリーミングによるライブ配信と、録画したものを編集する動画配信のふたつのパターンがあります。ゲーム全般に詳しい編集・ライターで、ゲーム実況の経験もある松井ムネタツさんは、それらの特徴について次のように話します。
「動画配信は10分~20分程度と、比較的短時間で視聴できるものが多く、見どころが詰まっているので、見る側も気持ち的にラクで手軽に楽しめる感じです。一方、ライブ配信はどうしても長時間になるので、ずっと見るのがなかなか難しい場合もありますが、ライブ配信は実況者がチャットに反応して受け答えしてくれるので、それが嬉しいというのはありますね」
ゲーム実況者のなかでも、ライブ配信を中心に活動する人は「ストリーマー」と呼ばれ、より視聴者との交流に重きを置いた活動をしているととらえることができます。ゲーム実況は機材やソフトなどを準備すれば誰でも参入できるものですが、多くの視聴者を集めて収益を得ているストリーマーはどのような姿勢で取り組み、どのような工夫をしているのでしょうか。ゲーム実況者として10年以上活躍しているプロゲーマー、Nottin(のっちん)TVさんにお話を聞きました。

NottinTVさんは現在、ゲーム実況のライブ配信をメインに、ゲーム番組やイベントへの出演など、プロゲーマーとして幅広い活動を行っています。NottinTVさんが得意とするジャンルは、「FPS(First Person Shooting)」と呼ばれる一人称視点のシューティングゲーム。なかでも、全世界でプレイされている人気タイトル『PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS』(以下、PUBG)の実況プレイで多くのファンを集めています。
視聴者目線のトークと「画面の見やすさ」
ーー『PUBG』で実況を行う際に心がけていることはありますか?
『PUBG』は総勢100人のプレイヤーがフィールドで武器を集めながら、生き残りをかけて戦うゲームで、特にゲーム開始直後などは敵との戦闘が起きない時間が長くなりがちです。そうした場合、トークで視聴者を飽きさせないようにしていますね。最近個人的に気になっていることや、時事ネタ、アニメやマンガの話など、話題もさまざまです。
ーープレイ面で視聴者を意識していることは?
「画面が見やすい」と視聴者にほめていただくことが多いです。『PUBG』では画面のアングルを頻繁に切り替えて戦うプレイヤーが多いのですが、そうすると見ている側は見づらく感じてしまうかも知れません。私自身、あまり早くアングルを切り替えるプレイはしないので、そうした点が視聴者にとってもメリットになっているのかも知れません。

ーーコメントしてくれる視聴者とのやりとりは、どのようにしていますか?
コメントはよく読んでいます。なるべく、初めて来てくれた人には反応するように心がけています。『PUBG』の場合は毎回バトルがどんな展開になるか分からないという緊張感があり、視聴者も一緒にそれを楽しんでくれているというのは意識していますね。一方で、新作ゲームをプレイする場合は、自分も視聴者もほぼ初見なので、「一緒に探っていく」というイメージでしょうか。
ライブ配信でのやりとりは、子供の頃、友達の家に集まってゲームをしている時に、後ろから見ている友達とワイワイ言い合っていた、あの感覚でやっていますね。