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メディアミックス進む「逆2.5次元」の今後 ヒットのカギは「虚構性」にあり?

マンガ、アニメ、ゲームなどを原作とした「2.5次元舞台」が人気を集めるなか、舞台を「原作」としてメディアミックスを展開していく、「逆2.5次元」の取り組みも注目を集めています。2.5次元文化を研究する須川亜紀子さんにお話を聞きました。

「逆2.5次元」に続く、シームレスな舞台展開の流れも

 アニメ、マンガ、ゲームなどを原作とする「2.5次元舞台」が活況を呈しています。そんななか、舞台を「原作」とし、そこからメディアミックスを展開していくという、「逆2.5次元」も注目を集めています。

「逆2.5次元」の取り組みとして知られているのが、ネルケプランニングの手がける『錆色のアーマ』プロジェクト。2017年6月、佐藤大樹さん(EXILE/FANTASTICS from EXILE TRIBE)と、俳優・声優の増田俊樹さんが主演をつとめ、東京、大阪で舞台公演が行われました。

 ただ、舞台での「原作」の発表からメディアミックス展開の開始までには期間の開きがあり、2019年1月発売の「コミックジーン」2月号(KADOKAWA)からマンガ版の連載が始まっています。新作の舞台公演も、2019年6月に上演されることが発表されました。

マンガ版『錆色のアーマ』の連載が始まった、月刊コミックジーン2月号
マンガ版『錆色のアーマ』の連載が始まった、月刊コミックジーン2月号

 もともと「2.5次元舞台」は、原作キャラクターの魅力を3次元の役者が忠実に再現しようとする点が観客に支持され、人気を獲得していったといわれています。キャラクターの魅力がすでにファンの間に浸透した状態で上演される「2.5次元舞台」と違い、「逆2.5次元」が3次元のキャラクターを起点にして、どのようにしてファンの心をつかんでいくのかが、注目すべき点といえます。「2.5次元」文化を専門に研究している、横浜国立大学教授の須川亜紀子さんに聞きました。

ーー「逆2.5次元」の試みについて、どのように受け止めていらっしゃいますか?

 当時、「逆2.5次元」という言葉がSNSで飛び交ったのですが、その後は、あまり話題にならなかったと記憶しています。ただ、『ミュージカル・テニスの王子様(テニミュ)』でデビューした増田俊樹さんが主演ですので、2次元感は出るだろうなという予想はついていました。もう一人の主演である佐藤大樹さんも、EXILEファンを2.5次元舞台に呼び込むことはもちろん予想できていたので、ある程度のヒットはすると思っていましたが、コミカライズまでに少し時差があったことで、大ヒットまではいかなかったのかなと思います。

ーー従来の「2.5次元舞台」への影響はあったのでしょうか?

 それ前後の試みとして、アイドルグループの活動と声優としてのアニメデビューをほぼ同時に行った『ドリフェス!』(2016年)『ドリフェス! R』(2017年)や、「2.5次元舞台」化を見込んで、同じキャストをアニメ版の声優にも起用した『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』など、最初から2.5次元を可能にさせる、シームレスなつながりを企図したものが出てきています。

アニメ版『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』のキービジュアル (c)Project Revue Starlight (画像:ブシロード)
アニメ版『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』のキービジュアル (c)Project Revue Starlight (画像:ブシロード)

 これは非常に面白い点で、ゲーム『ラブライブ!』で、アニメを先行させて、同じ声優さんを「μ’s(ミューズ)」としてライブ活動(アニメ以前にも活動はありましたが)をした結果、アニメの世界が声をブリッジにして現実に飛び出した成功例と同じく、男性ファンをメインターゲットとしたプロジェクトは成功しているのに、女性ファンをメインターゲットとし、同じことを男性グループで行っても、成功するとは限らないことです。このあたりは、私のジェンダー研究との兼ね合いで、調査中です。

ーー「逆2.5次元」の今後を左右するポイントは何でしょうか?

 3次元から2次元へ寄っていく「逆2.5次元」の成功のカギは、どれだけ舞台が虚構的か、そしてどれだけキャストが虚構的身体を演じられるか、ということになるかと思います。

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