入手難で苦境のPS5、2023年は「巻き返し」なるか? 明暗分けるふたつのカギ
発売から2年以上が経過しても、思うように買えなかったPS5。それは人気の証とも言えますが、十分に普及したとも言えないため、理想からはほど遠い状況です。長く苦戦が続きましたが、この2023年がPS5の転換期になるかもしれません。
供給不足がようやく解消か?

最近ではスマホの台頭やゲーミングPCへの注目も集まっていますが、ゲームを遊ぶ環境としてやはり根強いのは家庭用ゲーム機の存在です。国内では、2017年に発売を開始したNintendo Switchが依然人気を誇っていますが、2020年に登場したPlayStation 5(以下、PS5)がその「牙城を切り崩すのでは」と注目が集まりました。
ですが、コロナ禍によって半導体をはじめとする部品の調達が難しくなり、工場の生産ペースにも影響。需要は大きいものの供給が追い付かず、入手難の状況が2年以上にわたって続きました。
年単位で出鼻をくじかれた感のあるPS5ですが、いくつかの情報や状況から、2023年が大きな分岐点になる可能性が高めです。果たして、PS5がどのような展開を迎えるのか。その背景の一端に迫ります。
●供給不足で出足を挫いたPS5、ようやく状況が改善か
PlayStation系列のゲーム機は程度の差こそあれ、いずれも一定以上の評価を得てきました。1994年発売の初代PlayStationは、それまで任天堂の一強状態だった家庭向けゲーム市場を一変させ、『ファイナルファンタジーVII』や『ドラゴンクエストVII』などの人気タイトルを独占。また、後継機のPlayStation 2はDVD再生機としての需要もあり、どちらも全世界累計で1億台を超える躍進を見せました。
ですが、この勢いはPlayStation 3(以下、PS3)でやや陰りを見せます。最初期の価格の高さや生産の遅れが初動に響き、スロースタートな結果となりました。後に低価格化を行い、ラインナップの拡充を図ることで復調しましたが、PS3の世界累計販売台数は1億台に届いておりません(2017年3月31日時点。なお、同年5月に全モデルの出荷が完了)。
こうしたPS3の経験を踏まえ、次の世代を担ったPlayStation 4は初期の価格を押さえた4万円台でスタート。ラインナップの充実や本体のバリエーションを増やすなどの施策も功を奏し、1億1千万台(2022年3月31日時点)を超えるヒット機に。かつての勢いを見事に取り戻しました。
その成功例に倣ったのか、PS5は高速SSDをはじめとする高スペックを目指すと同時に、通常モデルの価格を5万5千円ほどに抑え、コストパフォーマンスの良さをアピール。また、ディスクドライブ非搭載のデジタルエディションは4万4千円程度と、さらにお得感のある選択肢を用意し、消費者の購買意欲に強く訴えかけました。
ほぼ全てのPS4ソフトが遊べる後方互換機能も備えていたため、PS5を好意的に見ていたゲームファンも多くいました。ですが、前述の通り十分な供給が叶わず、欲しくとも手に入らない状況が続いたため、暗雲が立ち込めます。定期的に各店舗へ入荷するものの、抽選に当たらないと購入できないことがほとんどで、次第に購入を諦める方が続出しました。
こうした経緯があり、PS5は2年以上も苦戦を強いられます。ですが、「PS Partner Awards 2022」に登壇したソニー・インタラクティブエンタテインメント CEOのジム・ライアン氏は、年末から2023年にかけてPS5の供給状況が改善すると示唆。また同様の発言を、「CES 2023」のプレスカンファレンスでも行いました。さらに、スクウェア・エニックスの吉田直樹氏も、年明け以降買いやすくなるといった旨を昨年末に明言しています。
これは筆者の個人的な印象でしかありませんが、年明け以降の動きを見ていると、Twitterなどに書き込まれる購入報告の傾向は以前よりも増えているように感じます。
販売戦略として年始のセールに合わせた可能性もあるので、この時点で結論を出すのはまだ性急ですが、ライアン氏や吉田氏が発言した通りの展開が訪れつつあるようにも思われます。これまでPS5が手に入らなかった人は、この2023年の動向に注目しておくと、購入機会に恵まれるかもしれません。