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【韓国アニメ時報】伝説的アニメ『テコンV』で紐解く”コリアンロボットアニメ史”

1976年から1990年まで韓国で展開されていたアニメ映画『ロボット テコンV』シリーズ。同作品は、韓国国内のアニメの歴史に大きい影響を残しています。制作に至る過程で、日本の名だたるアニメスタジオとの関係性もあり、韓国のアニメ史を語る上で欠かせない作品です。イベント「韓国アニメ祭り」を主催するライターのかに三匹さんに話を解説してもらいました。

一大ブームをおこした『ロボット テコンV』

『ロボット テコンV』というロボットアニメを聞いたことがありますか?

 1976年から1990年まで韓国で展開されていた巨大ロボットの『テコンV』が活躍するアニメ映画シリーズ。韓国国内で70年代後半から80年代にかけて非常に高い人気を獲得していました。

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『テコンV』は、韓国アニメの歴史において独特の存在感を示しています。韓国の国技テコンドーを駆使して戦う主人公と巨大ロボット、という組み合わせ。テコンVは、搭乗者と混然一体となり、搭乗者の強さがそのままテコンVの強さになるというシステムのロボットです。

 ロボットが華麗にテコンドーで戦うだけでも興奮しますが、物語の登場する主人公キム・フンはテコンドーの韓国代表となりテコンドー世界大会に出場するほどの達人。シリーズ初期では、敵のロボットを粉砕した後は生身で敵の首領を倒すのが定番でした。

 また、突出したドラマ性の高さもテコンVの特徴のひとつ。最初の敵であるカープ博士は、自分の背の低さをコンプレックスに悪の道に堕ちた科学者です。シリーズ第1作と第2作に登場するアンドロイド少女メリーは、自分を作ったカープ博士と主人公キム・フンとの間で揺れ動き、悲劇的な最期を遂げます。

 そして、当時の韓国アニメとしては重厚でバラエティーに富んだ世界観も見逃せません。シリーズが進むにつれて、闇落ちした科学者から宇宙からの侵略者や海底人、自我を持ったアンドロイドなどさまざまな敵がテコンVの前に登場。これらの特徴のおかげで同作品は韓国を代表するキャラクターとなっていきます。

 一方で同作品には、日本のアニメ『マジンガーZ』、『グレートマジンガー』などのキャラクターの盗作ではないかという指摘があります。2018年夏に、『テコンV』は『マジンガーZ』の盗作ではないと韓国地裁が判断したことが、日本国内でも話題になりました。

 こういった経緯から、韓国を代表するキャラクターである『テコンV』には、常に複雑な感情が付きまとうことになります。韓国の若い世代には同作品を古くさいと言って嫌う人もいるといいます。

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