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【韓国アニメ時報】伝説的アニメ『テコンV』で紐解く”コリアンロボットアニメ史”

下請けで培ったアニメ技術が花開く

 しかし『テコンV』が非常に優れたコンテンツであったことに変わりはありません。同作品は韓国のアニメの歴史とも密接に関連しているのです。

 最初の韓国アニメは、1956年にCM映像として制作されたアニメ「ラッキー歯磨き」とされています(最近では『OBシナルコ』のCMが最初のアニメという説もあります)。そして、1967年には韓国初のカラー長編アニメ映画『ホン・ギルドン』が製作されています。
 
『ホン・ギルドン』監督のシン・ドンホンさんは、眞露焼酎CM(1960年)などアニメCMで知られる人物。同作品のヒットにより1960年代末にはいくつかのアニメ映画が製作され”韓国第一次アニメブーム”が到来します。

日韓合同で制作された映像が見られる『妖怪人間ベム 初回放送('68年)オリジナル版 DVD-BOX<通常版>』(ビクターエンタテインメント)
日韓合同で制作された映像が見られる『妖怪人間ベム 初回放送('68年)オリジナル版 DVD-BOX<通常版>』(ビクターエンタテインメント)

 1965年に日韓国交回復条約が締結されると、日本と韓国両国間の交流の一環としてアニメが制作されます。初の日韓合作作品として、1967年には『黄金バット』が、1968年には『妖怪人間ベム』が製作され、東洋放送で放送されました。アニメーターの森川信英さんが韓国に渡り、上の2作品の作画監督として技術指導を行いました。

 これが契機となり、韓国で下請会社が多く作られるようになります。70年代初期には、タツノコプロダクションや日本アニメーション、東映動画といった日本のスタジオが下請によるアニメ制作を開始。そうした中で『ロボット テコンV』が、1976年に上映されます。

 テコンVシリーズ『’84テコンV』(1984年)の制作協力として名前がクレジットされている教育動画は、日本が韓国に下請を行い始めた最初期から関わっている会社です。

 東映動画(現在の東映アニメーション)の下請けを行っていた教育動画には、日本のアニメノウハウがあったとされ、そこで培った技術で制作した『’84テコンV』は、非常に見ごたえのある作品に仕上がっています。

『テコンV』の大ヒットにより70年代後半から80年代前半まで多くのアニメ映画が作られ、その大多数がロボットものだったことから同作品の影響が大きいをうかがい知れます。

 2010年代に入り、韓国では『変身自動車 トボット』のヒットなどによりロボットアニメのブームが再熱中。21世紀のアニメだけあって、デザインもオリジナルであり洗練された作品が多くみられます。

 具体的には『最強戦士ミニ特攻隊』、『バイクロンズ』、『ハローカーボット』、『燃えないでバスター』、『ロボテックス』、『鋼鉄消防隊ファイヤーロボ』、『ジオメカ』、『ダイノコア』といった作品が名を連ねています。

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 日本の下請けから始まった韓国アニメの歴史。そこからノウハウを蓄積し、独自の特色を開花させてきました。現在では韓国のアニメCGは、日本の技術を超えると言われるほどになりました。これから先、いったいどのようなアニメが誕生するのでしょうか。引き続き、韓国アニメをさまざまな視点から取り上げていきたいと思います。

(かに三匹)

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