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「嘘をつくのはもう嫌だ」 『正直不動産』が描く、会社員が取り戻すべき「正直さ」とは

2017年6月から「ビッグコミック」(小学館)で連載の『正直不動産』(大谷アキラ、原案:夏原武、脚本:水野光博)。同作品は不動産業界の実態を白日のもとに晒した、過激な内容で話題になっており、4月26日には第5巻の発売が予定されています。そんな『正直不動産』の本質を、マンガ評論家・漫画読太郎さんが鋭く論じます。

「自分は騙されない」が危ない

 現代のビジネスマンに、「他人をだまさない人生」の大切さを教えてくれるのが、「ビッグコミック」(小学館)に連載中の『正直不動産』です。

 ○○は儲かる――。まだ○○をやってないの?――。

 世の中には、正しいように聞こえる嘘が数多く存在します。しかも、それらを信じない人が「ビジネス弱者」であるように扱われる始末。「自分は騙されない」と思っている人ほど、このような罠に陥っているのが現状です。

 ビジネスでの成功を望む人にとって、「信頼」は絶対に必要な武器です。しかし、その信頼を得る相手を、あなたは間違っていませんか?

真実の確率は「1000分の3」

 物語の主人公は、登坂不動産の凄腕営業マン・永瀬財地(ながせさいち)。永瀬は口が上手く、嘘で客を信用させて売り上げNo.1の座を守り続けています。

世の中は嘘だらけ(画像:写真AC)
世の中は嘘だらけ(画像:写真AC)

 作品の冒頭で永瀬は、自身が教育係を担当する新入社員の月下咲良(つきしたさくら)に「千三つ(せんみつ)」という業界用語の意味を尋ねます。

「1000件のうち、契約にいたるのは3件」と、優等生な答えを返す月下。しかし、永瀬は衝撃的なひと言を放ちます。不動産営業マンが話す「1000の言葉の中に、真実はたった3つしかない」と。ようは、土地や家屋の売買は「嘘をついてなんぼ」ということです。

 しかし、とある地鎮祭で石碑を壊してから永瀬は一変。嘘をつくことが出来なくなってしまいます。それだけではありません。嘘をつこうとすると、なぜか逆の「真実」を話すようになってしまったのです。

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