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興行収入約920億円! ”バディ映画”としての『ヴェノム』その魅力を考察

エディとヴェノムは最高の"相棒(バディ)"

 2018年の映画におけるヴェノムは、大まかの設定は上記で紹介した原作と同じです。大きな違いを挙げると、映画版では胸のクモマークがなくなっていることでしょうか。

『ヴェノム ブルーレイ&DVDセット』2019年3月6日発売予定(ソニー・ピクチャーズエンターテイメント)
『ヴェノム ブルーレイ&DVDセット』2019年3月6日発売予定(ソニー・ピクチャーズエンターテイメント)

 映画『ヴェノム』は、スパイダーマンから派生した作品として制作できなかった事情があり、クモのマークが胸にあると理屈が通らなくなるとして、マークは消されています。

 映画を制作したソニーとマーベル・スタジオの契約により、劇中にスパイダーマンを登場させることができなかったため、スパイダーマンが不可欠な映画をスパイダーマン不在で制作した結果、こうした違いが生まれているのです。

 ヴェノムが映画に登場したのは、2007年公開の『スパイダーマン3』が初めて。しかし、サム・ライミ監督の『スパイダーマン3』では、ヴェノムの登場はやや無理やりに感じられ、原作ファンの支持を得られなかったといいます。

 そうした経緯から、『ヴェノム』は、期待と不安が混じった視線を集めていました。しかし、公開された作品は、エディとヴェノムの関係を古き良き”相棒(バディ)映画”に落とし込み、見事に演出しています。

 まるで、ヤンキー映画のような信念を貫く”心地いいワルさ”のヴェノムと、エディとの関係性がきちんと描かれており、2人の凸凹なコンビのやり取りや目に見えない絆を好ましく受け取った声が多く見られました。

* * *

 はるか遠くの宇宙から侵略して来たシンビオートが、悪に向き合うエディの苦悩などに影響され、活躍していく姿は、それまでのヒーローにはなかった姿です。

 映画評論家からの前評判がお世辞にもいいとは言えなかった『ヴェノム』。しかし公開されると、多くのファンに受け入れられました。そこから見えるのは、既存のヒーロー像が時代や世論を反映して変容してきたことでしょう。

 世界に目を向けても、それぞれの文化に起因したさまざまな問題があるなかで、『ヴェノム』のようなキャラクターは、新しい社会の姿をエンターテイメントという媒体を通して私たちに見せていると受け止めることができるのです。

(大野なおと)

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