少年マンガの「悪質すぎる」精神攻撃キャラ 主人公だけでなくファンもトラウマ!
いじめ、悪口、洗脳、裏切りなどアニメやマンガにおいて、強烈な「精神攻撃」が行われる展開は少なくありません。精神攻撃を食らうのは、キャラだけでなく読者も同様で、そのなかでも希少な、仲間から忘れられて「関係値リセット」や「改変」される展開はトラウマものとして語り継がれています。その代表的な2作品を紹介しましょう。
心を抉る! 希少性の高い「関係値」を弄られる精神攻撃
バトルマンガにおいては、物理的な攻撃ではなく、「精神攻撃」を用いてくる敵キャラもいます。今回、主人公だけでなく、読者にもトラウマを植えつけるような、イヤらしい精神攻撃が展開された作品を紹介します。
●月島さんのおかげで黒崎一護が曇りまくる『BLEACH』
死神、虚、滅却師など、あらゆる組織にとんでもない能力者が散在する『BLEACH』のなかでも、「死神代行消失篇」の敵組織「XCUTION(エクスキーション)」の「月島秀九郎」は人間にも関わらず最強キャラの一角に名を連ねるほどの精神攻撃タイプの能力です。
月島の完現術「ブック・オブ・ジ・エンド」は、他人の過去に都合の良い「月島秀九郎」を挟み込むという能力です。ただの洗脳ではなく、事実として過去を改変するというインチキじみた能力であり、マンガでは最後から二番目の章の「ぽっと出」のキャラにもかかわらず、物語の最初から主人公の黒崎一護の従兄弟として、あらゆる戦いで活躍したことに過去を改変。ことある毎に「月島さんのおかげ」と称されるほど、仲間から絶賛されていました。
その異常さに気付いているのは、黒崎一護と読者、視聴者だけ。それなのに家族や親友のチャド、良い感じになっていたはずの井上織姫、さらに死神たちにも月島に刃を向ける一護の方が「異常者」として認識される展開となっています。最初は一護も月島のことを心強い味方だと信じていたこともあり、容赦なく一護が孤立する展開にはファンの顔も曇ったとか。
特に仲間たちは改変された後も「一護も月島さんも大切」という態度だからこそ、ただ洗脳されて敵対するシーンとは異なるダメージを負ってしまいます。実際、同級生たちに「月島さんに謝れ」、「謝れ」と連呼されるシーンは「かなり重い」の一言。敵に対して甘すぎる対応をするため、時折、ファンからも「チョコラテ」呼ばわりされる一護ですが、「死神代行消失篇」でついにバトルの末、現世の人間を殺害してしまいます。その行為を非難するファンが少なかったのも、月島さんの胸クソ能力を存分に使ってヘイトを存分に集めたおかげでしょう。
●いちゃいちゃシーンの1秒後、絶望に落とされる『うしおととら』
『BLEACH』同様、敵の精神攻撃によって窮地に陥ったのが『うしおととら』の「蒼月潮」です。その直前まで潮とヒロインの中村麻子はふたりで公園にいました。潮に対して好意を抱いてた麻子は、物語の序盤~中盤を経て精神的に成長し、潮に対して素直になろうと口を開こうとした瞬間……。一秒後には潮の記憶がなくなってしまっていたのです。
この事実に潮は号泣しますが、これだけでは終わりません。これまで苦楽を共にした妖怪やバトルを経て敵から味方になった妖怪も、潮のことを忘れて敵になり、幼なじみの井上真由子に襲いかかるという展開に発展してしまうのです。
全ては同作品のラスボス「白面の者」の仕業なのですが、記憶を食べて内部崩壊を狙う姑息さや狡猾さが色々な意味で「小物っぽい」という印象を抱いた人も少なくないようです。潮の場合、急転直下の展開でしたが、相棒の「とら」が覚えてくれたことが救いでしょう。
記憶を食べられてからラスボスとのバトルまで、記憶がなくなってからの期間は意外と長いですが、『BLEACH』の「死神代行消失篇」のように「サイコスリラー」と呼ばれることはありません。
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『BLEACH』も『うしおととら』も、最終編のひとつ前の展開でそれまで積み重ねたものがなくなってしまうという精神攻撃の恐怖を見せつけてくれました。同様の展開の精神攻撃が少ないのも、それは数十巻をかけてじっくりと関係を構築しなければならないからかもしれません。
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