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『ドラクエ3』序盤で頑張って「あぶないみずぎ」を買ったら…女勇者の悲しい現実に同情?

1988年にファミコンで発売された後、スーパーファミコン、ゲームボーイ、スマートフォン、ニンテンドー3DS、Nintendo Switchなどさまざまなハードに移植された名作RPG『ドラゴンクエストIII そして伝説へ』を久しぶりにプレイ。今回は「あぶないみずぎ」にこだわった冒険の旅に出発しましたが……?

高額アイテム「あぶないみずぎ」を「最速」で買いたい!

『ドラクエ3』で序盤に登場する「あぶないみずぎ」は、他の武器防具より1ケタ多い高額ぶりでプレイヤーを驚かせた
『ドラクエ3』で序盤に登場する「あぶないみずぎ」は、他の武器防具より1ケタ多い高額ぶりでプレイヤーを驚かせた

 1986年の第一作発売から現在にいたるまで、RPGの代名詞的な作品として遊ばれている「ドラゴンクエスト」シリーズ。本日2023年2月10日は、今なお「ファミコンRPG最高傑作のひとつ」と評価される『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』(以下、ドラクエ3)の発売から35年の節目です。

 ストーリーは「世界を支配しようとする魔王バラモスに対して、勇者オルテガの子である主人公が、仲間と共にバラモスを討伐する旅に出る」というもの。発売35周年のこの機会に、久しぶりにファミコン版をプレイしました。せっかくなのでRPGらしく「登場人物の視点」で進めていきます。

 同作はオルテガの子供が主人公なので、オルテガに関わる人物名にしたいと考えました。調べたところアルゼンチンのサッカー選手にアリエル・オルテガという方がいるようです。

『ドラクエ3』のオルテガは、苗字ではなく名前と思われますが、「ア」で始まるところも勇者っぽいので「ありえる」としました。女子っぽい響きとも取れる名前ですし、ある理由でパーティが男性ばかりになるため、女勇者とします。

 ファミコン版にはリメイク版のような「性格」の要素はないので、すぐさまゲーム開始できますが、ここでいきなりリセットを繰り返すことになります。

 その理由は、「ルイーダの酒場」で初期登録されている冒険者名がランダムで決まるから。ファミコン版『ドラクエ3』のキャラクター名にカタカナはつけられないので、カタカナ名の仲間はこの人たちしかいないのです。

 プレイされた方は「初期登録キャラクターなんて強いわけでもないし、使わないだろ」とお思いの方もいるでしょうが、筆者には育てる理由があります。

 というのは、中盤のイベント「商人の町」で「キャラクター名+バーク」という町ができるのですが、自分で作ったキャラクターはひらがな名しかつけられないので、商人の名前が「はん」なら「はんバーク」の町になってしまいます。これでは締まらないので、初期登録キャラクターを育てた上で、商人に転職させようと考えたわけです。

 初期名は戦士「ライアス」「スタロン」「ハンソロ」「ヘ゛ンハ」、僧侶「アラン」「スミス」「エルシト」「ニコライ」、魔法使い「キット゛」「ロミオ」「イリア」「マーリン」のなかから、ランダムで決まります(全員男です。イリアとか、女子じゃダメなのか……)。

 ちなみに濁点も1文字で、表記が締まらないので、戦士「ライアス」、僧侶「ニコライ」、魔法使い「マーリン」で冒険したかったのですが……。

 リセットを繰り返して3時間粘っても、なかなかその組み合わせになりません。「ニコライ」「マーリン」だと「スタロン」になる、みたいな法則性があるのでしょうか(単に運が悪いという可能性も)。ちなみに、マーリンは「ー」が名前に使えない『ドラクエ3』で、唯一「ー」を名前にできるキャラクターです。

 こんなことでリセットしているプレイヤーは、全国でも自分くらいかもと思いつつ、「ライアス」「ニコライ」「ロミオ」としました。後で、つるし上げられる悲劇の人なので、ロミオを商人にしよう。「ロミオバークの町」って、なんだかかっこいいし。

 ロミオとはロマンチックな名前なのに、男性魔法使いなのでお爺さんです(キット゛でもお爺さんですけど)。転職してもターバンの商人になるので、賢者のような美形とは縁遠いまま終わりますね。

女勇者はどうしても「あぶないみずぎ」が必要?

 というわけでRPGらしく、上記の設定を脳内ストーリーで「解釈」してみましょう。

* * *

 私は勇者アリエル。勇者オルテガの息子として育てられたが、実は娘だ。父は私が幼い時に魔王討伐の旅に出た。

 私の顔は父に似ているらしい。父は女顔であることを気にして、いつも目のところに穴が空いた布を頭からかぶり、細い体を隠すために、肉じゅばんを着こんで、パンツ1枚で筋肉質の体をアピールしていた。それで「てつのおの」を持っている姿は、子供の私でも不審者にしか見えなかったが、町の人びとは勇者と讃えていた。

 そんな父は火山に落ちて亡くなり、私は16歳の誕生日に母に起こされる。父を継ぐ勇者として、城に行く約束を母としていたのだ。「この日のために、お前を勇敢な男の子として育てたつもりです」と母。何だその布と肉じゅばんは。私に父の恰好をしろと? 確かに私は男として振る舞っても気づかれないくらいで、胸はない……が、あんまりだ!

 抗議を聞き入れ、母は「勇者の装束」を取り下げてくれた。アリアハンの王に会うと「勇敢なオルテガの息子」認定される。で、世界の人々が名前も知らないマイナーな魔王バラモスが、いずれ世界を滅ぼすとのことで、討伐のために50ゴールドとこんぼう2つと、ひのきのぼう、たびびとのふくをもらう。いくらマイナー魔王の討伐とはいえ、百姓一揆でももう少しマシな資金や武器を持っているだろうに。勇者の装束を着てこなかったから、気分を害したのか?

 ルイーダの酒場で仲間を募る。妙に澄んだ目をした戦士ライアスは「私は今は脳筋ですが、学を付けて、さとりのしょを読み解いて賢者になりたいのです」と言う。幼なじみである、無口な僧侶ニコライの影響でおかしくなってしまったらしい。

 そして、魔法使いロミオ……こいつは父と同じ匂いがする……なぜ美形なのに、老人の変装をして、腰を曲げて歩いているんだ。「処世術じゃよ。僕は商人になりたいのですが、20レベルまで上げて、ダーマ神殿に行かないと転職が許されないので……」話し方までおかしい。町の外にはスライムくらいの平和なアリアハンで、冒険者になるのは奇人変人だけなのだろうか。

 冒険に出た私は、色々あってロマリアにたどり着き、盗賊カンダタの討伐を王に依頼される。シャンパーニの塔で相対したカンダタは、穴の開いた布を被ったパンツ1枚の父スタイル。

「なぜそんな恰好をしている!」と気色ばむ私に、カンダタは「若いころに出会った勇者の姿に憧れて、それからこのスタイルよ。お前も勇者なら、この装束を着るべきだ!」と胸を張る。私の中の何かが爆発して「私は女だ。そんな恰好ができるかっ!」と返したら、ライアスが「いつわりは人の心の毒となりましょう」などと不審な視線を向けてくる。ロミオは「そう言えばアリエル様は、勇者の装束を身に着けていない様子。許されませんぞぇ」と尻馬に乗る。

 ブチ切れた私はカンダタをコテンパンに叩きのめした。どうやったら、私が女だと理解してもらい、父の恰好を避けられるのか。私はその答えをアッサラームの町で手に入れた。

「あぶないみずぎ」78000ゴールド……「てつのよろい」が1100ゴールドなのに、こんなわずかな布で、なんでこんなに高いんだ? だが、どうしても買わねばならない。自分の尊厳を守るために。

* * *

 こんな脳内ストーリーをもとに「あぶないみずぎ」を序盤で購入することにしました。

 筆者は「その町で売っている武器や防具は全て揃えてから、先に進む」ポリシーなのですが、さすがに高すぎるので「買うための準備」をすることに決めました。

【画像】「あぶないみずぎ」まで最短ルート? 徹底したお金稼ぎと水着装着までの一部始終(10枚)

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