セーラーマーズの根強い「性格論争」 アニメ派VS原作マンガ派で割れる意見
『美少女戦士セーラームーン』は、日本のみならず海外でもたくさんのファンに愛される人気シリーズです。その登場人物で、セーラー戦士のひとりとして登場する女子高生・火野レイが変身するセーラーマーズは、実は原作マンガ版とアニメ版では性格が大きく異なるキャラです。今回はその違いやファンの反応をご紹介します。
旧TVアニメ版の賑やかで勝気な性格もカワイイけど…
セーラーマーズに変身する火野レイは、武内直子さんが描いた大ヒットマンガ『美少女戦士セーラームーン』に登場する3人目のセーラー戦士です。多くのファンに馴染みのある1992年放送の旧TVアニメ版では、負けず嫌いかつミーハーな性格で、主人公のセーラームーンこと月野うさぎとは仲の良さからケンカする場面もよく見られました。賑やかで情に厚いイメージのあるセーラーマーズですが、実はマンガ版ではかなりのお嬢様キャラで旧TVアニメ版とは性格が異なります。
マンガ版のセーラーマーズを一言で表すと「クールビューティー」です。中高一貫校の名門・私立T.A女学院に通い、霊能力の持ち主で巫女という設定は共通で変わりはありません。
しかし、落ち着いたお嬢様言葉の口調、神秘的で凛とした佇まい、美しいロングストレートの黒髪も相まって醸し出されるエレガントな雰囲気は、原作マンガ版のみに見られる特徴。旧TVアニメ版のキャラクター像とは大きくかけ離れています。
口調は物語が進むにつれて、うさぎ達に合わせるように変化していきますが、それでも彼女が通うT.A女学院では変わらず、一貫して「大人っぽい美人お姉さま」のイメージを保っていました。
対照的に、旧TVアニメ版での日常描写はだいぶコミカル寄りです。アニメでレイが初登場した第10話「呪われたバス!炎の戦士マーズ登場」では、原作マンガのような口調、クールさの片鱗があり、若干のドジっぽさはあるもののカッコいい雰囲気がありました。しかし、すぐにうさぎとドタバタの掛け合いをするようになって、ボケ&ツッコミ役をこなすギャグキャラのような役割を担います。
しっかり者で世話焼きながんばり屋さんであり、時にはマンガ・アニメオタクのような描かれ方もして、もはや高貴なお嬢様設定の火野レイはほぼ消滅していました。恋愛面についても、男性・女性の両方からも好かれるキャラでしたが、実は原作マンガ版では男嫌い、旧TVアニメ版ではタキシード仮面こと地場衛とのデートや、実家の神社でアルバイトをする青年・熊田雄一郎と恋愛するお年頃の少女として描かれています。
このように、原作マンガ版と旧TVアニメ版でだいぶイメージの異なるセーラーマーズですが、旧TVアニメ版で見せたうさぎとの友情は、シリーズを通して重要なポイントとして評価されています。
うさぎがセーラームーンとして、またひとりの少女として直面するさまざまな問題に、友達として誰よりも気遣うセーラーマーズの姿は旧アニメ版の大きな魅力です。さらに、明るく勝気で喜怒哀楽をハッキリと表現する性格に変更されたことで、「人間味と親しみやすさがグっと増した」と評するファンは少なくありません。
セーラーマーズを演じた声優・富沢美智恵さんや、原作者の武内直子さんは、原作マンガ版に思い入れがあるようで、アニメ版セーラーマーズの性格変更についてインタビューでやや残念がる発言もされたことがありました。ただ、旧アニメ版が圧倒的に世間に浸透しているため、原作準拠でリブートされたアニメ『美少女戦士セーラームーンCrystal』で描かれた、原作マンガっぽさのあるセーラーマーズを見て何か違う…と思ったファンが現れたのもまた事実です。
クールで麗しい原作マンガ版、賑やかで親しみやすい旧アニメ版、原作マンガ版をアニメで表現したCrystal版と、それぞれ違った形で魅力を堪能できるのがセーラーマーズであり、ファンにとってはそれぞれに想い入れがあるキャラクターとなっているようです。
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