VTuber主演ドラマ『四月一日さん家の』プロデューサーに聞く VRでテレビ番組はどう変わる?
「VR」に無限の可能性あるも、作り手の信念がカギに
ーーテレビ業界から見て、VTuberならびに動画コンテンツはどのように受け入れられていますか?
今のVTuberのテレビでの扱われ方を見ていると、どうしてもエンタメとして先発のテレビの方がノウハウがあったりもするので、VTuberや、バーチャルという存在への偏見といいますか、理解が浅いところもあるなあ、とすごく思います。
我々も当初は、同じエンタメでもスタッフの出自が違うので、本ドラマを作る際に実写系スタッフとテック系スタッフの間で文化が違いすぎて、言葉が通じないことも多々ありました。
でも、「連続ドラマをVTuberで作り、新しいエンタメを世に問いたい」という同じゴールに向かっていけたので、最後はお互いがお互いの気持ちを汲み取り、すごく分かり合えた気がします。こういうことが大事なんだな、と実感しました。
ーーテレビにVTuberが参入することで、既存のタレントができなかったような番組が登場するでしょうか?
そうですね、登場するとは思います。VRテクノロジーも無限の使い方があると思うので。ただ、ジャンルや見せ方は方法論なので、それよりも「誰に何を見せたいか、伝えたいか」という作り手の信念次第で、いかようにもなると思います。
ーー今後も、VTuberを起用した番組作りを積極的に行っていく予定でしょうか?
『四月一日さん家の』がVTuberエンタメの盛り上げの一端を担わせていただけているのであれば、ぜひ今後もいろいろな番組を作っていきたいです。教育ジャンルなども興味があります。VRでは、もう会えない人にも会えたりしますので、そういう番組企画も考えています。
ーーこれからのテレビ制作の現場は、どのように変化していくと思いますか?
何を伝えたいかを明確に持っている人は、何が変わろうと強いと思います。制度的なことでいうと、「働き方改革とVRは共存できるのか」というのは、すごく興味のあるトピックです。VR空間上でのクリエイティブミーティングとかが、そのまま番組になったりするかもしれませんね。
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VRを表現手法に取り入れたとしても、観る者の心を動かす映像のカギはあくまで、作り手のビジョンや信念ということなのかも知れません。『四月一日さん家の』で展開される仮想世界のドラマが視聴者の心をどのように揺さぶるのか、あるいは今後の映像コンテンツづくりにどのような影響をもたらすのか、注目したいところです。
(マグミクス編集部)