「魔法少女ものかな?」→「鬱でした…」はもう勘弁! 笑顔になれるアニメ3選
『魔法少女まどか☆マギカ』を筆頭に、近年の魔法少女アニメにはよく、ヘビーな鬱展開が見受けられます。「癒やされたかったのに……」「キービジュアル詐欺だ」とがっかりした方もいるかもしれません。時には夢や希望、笑い(?)にあふれた魔法少女アニメも、見たくなりますよね。この記事では、心が平和な魔法少女アニメを3作品ご紹介します。
なんという平和…闇堕ちしない、明るい魔法少女たちを見たい!
あなたは「魔法少女」と聞くと、どのアニメ作品を思い浮かべますか? 「プリキュア」シリーズや「おジャ魔女どれみ」シリーズを挙げる方も多いかもしれません。しかし最近では、『魔法少女まどか☆マギカ』や『魔法少女育成計画』など、「鬱系」の魔法少女アニメも増えています。「『実は鬱』な魔法少女ものはもうこりごり……」という方に向けて、この記事では心が平和な魔法少女アニメを3作品ご紹介します。SNSでも「現存する魔法少女アニメで一番平和」「癒やされるわあ……」と評判です。
●『魔法少女 俺』(2018年4月~放送)
15歳の駆け出しアイドル、卯野さき(うの・さき/CV:大橋彩香)は、日々芸能活動に励むものの、全く売れていません。そんなさきの憧れは、同じアイドルユニットに所属する御翔桜世(みかげ・さくよ/CV:三澤紗千香)の兄であり、トップアイドルユニット「 STAR☆PRINCE」のメンバーである御翔桃拾(みかげ・もひろ/CV:豊永利行)。
桃拾に近づくため芸能活動を頑張るさきですが、ある日家に帰ると、玄関を蹴って声を荒げるこわもての男が。その男はやくざ……ではなく、さきを魔法少女にすべく現れた、マスコットのココロちゃん(CV:一条和矢)で――?
『魔法少女 俺』は、同名マンガ(作:毛魂一直線/ふゅーじょんぷろだくと)を原作としたアニメです。冒頭からところどころにツッコミどころの挟まる本作ですが、さきが魔法少女に変身するとなぜかムキムキの青年になるという、笑いあり涙ありの作品です。
第1話から、かなりアグレッシブな展開を見せる本作。まず、遅刻しそうになったさきは、母にパフェを渡され、走りながら食べます。さらに、CDを売るための路上ライブでは、『キューティーハニー』の主題歌に酷似したオリジナルらしき曲を歌いますが、音程は外れ放題。
しかしいずれも誰にも突っ込まれず、物語は進んでいきます。そのうえ、さきは結局魔法少女に。妖魔から桃拾を助けようと変身するさきですが、魔法少女になったのは服装だけ。体は少女ではなく、ムキムキマッチョなお兄さんになってしまうのです。
ココロちゃんいわく、「戦闘には男の体の方が適しとるやろ?」とのこと。魔法のステッキ(?)は渡されるものの、さきは魔法が使えないため、妖魔の倒し方は基本的に「ステッキで殴り倒す」スタイルです。
魔法少女の定義を疑いたくなる設定ですが、あくまで作品内でのさきは「魔法少女」。すでにおなかいっぱいになりそうな情報量ですが、さき以外にも魔法少女が現れていくため、事態はどんどんカオスになっていきます。何も考えず笑いたいときにおすすめな、魔法少女アニメ(?)です。この作品は、「dアニメストア」「Amazonプライム・ビデオ」「U-NEXT」などで見ることができます。
●『大魔法峠』(2006年4月~放送)
田中ぷにえ(CV:佐藤利奈)は、聖魔法王国のプリンセスです。女王になるための試練として、地上の学校に転校してきました。かわいらしい見た目のぷにえに、男子たちは大盛り上がり。ぷにえは魔法を使って、襲いくる困難を乗り切ります。
しかし、学園祭で国鉄子(こく・てつこ/CV:下屋則子)のカレー店を助けたぷにえは、学校を仕切るスケバンの姉御(CV:川澄綾子)たちに目をつけられてしまいます。魔法を封じられてしまったぷにえは、「ならば、肉体言語にて語るまで!」と目つきを変え、華麗な関節技を繰り出して――?
『大魔法峠』は、同名マンガ(作:大和田秀樹/角川書店)を原作としたオリジナルビデオアニメです。『ナースウィッチ小麦ちゃんマジカルて』『撲殺天使ドクロちゃん』に続き、「邪道魔法少女」シリーズの第3作目として制作されました。ぷにえは魔法を使えるにもかかわらず、なぜか主に関節技を使って、さまざまな危機を乗り越えます。
かわいらしい見た目や声とは裏腹に、冷酷かつダイナミックな関節技を披露するぷにえ。「打撃系など花拳繍腿(かけんしゅたい※華やかだが見かけだけの技のこと)」「サブミッション(関節技)こそ王者の技よ」と、魔法が使えそうなシーンでもあくまで物理的に相手を倒していきます。
さらに、時おり見せる「ブラックぷにえ」の切れ味も鋭く、鉄子の作ったカレーに「これはカレーじゃない、黄色いエサよ」と言い放つ始末。ぷにえの極端な二面性と、常軌を逸した関節技の強さが、異色を放っている魔法少女作品(?)です。
なお、オープニングの歌詞や映像にも、ブラックジョークが満載です。サビの歌詞「リリカル・トカレフ・キルゼムオール(Kill them all=皆殺し)」の不穏さ、それを笑顔で歌うぷにえの背後で、燃える金閣寺や国会議事堂。そしてそれらに一切、説明はありません。監督は、『ガールズ&パンツァー』『SHIROBAKO』を手掛けた水島努さんです。
パロディも豊富で、かなり情報量の多い本作。ぷにえ役の佐藤利奈さんは、2022秋アニメ『アキバ冥途戦争』で、30代メイドの万年嵐子(まんねん・らんこ)を演じました。『アキバ冥途戦争』のカオスさに心つかまれた方には、特に見ていただきたい作品です。この作品は、「dアニメストア」「Amazonプライム・ビデオ」「U-NEXT」などで見ることができます。
●「カードキャプターさくら」シリーズ(1998年4月~放送)
友枝町に住む小学生・木之本桜(きのもと・さくら/CV:丹下桜)は、体育が得意な小学4年生の女の子です。ある日、桜が学校から帰ると、誰もいないはずの地下書庫から何者かの気配が。桜が書庫に降りると、そこには金色に光る1冊の本がありました。
本のなかにはカードが入っており、強い風とともに飛び散ってしまいます。さらに、ケルベロス(CV:久川綾/通称・ケロちゃん)という不思議な生き物まで登場。飛び散った「クロウカード」を連れ戻すため、ケロちゃんはさくらに封印の鍵を与え、カードキャプターにします。さくらはカードたちを探し集め、魔法で立ち向かうことになり――?
「カードキャプターさくら」シリーズは、2023年2月時点で累計発行部数2200万部を突破している人気マンガ『カードキャプターさくら』(作:CLAMP/講談社)を原作としたアニメです。「魔法少女の金字塔」ともいわれる本作では、「絶対 だいじょうぶだよ」という無敵の呪文とともに、ピュアでまっすぐな主人公・桜が困難に立ち向かいます。
幼い頃に母を亡くし、優しい父・木之本藤隆(CV:田中秀幸)、ちょっと意地悪な兄・木之本桃矢(CV:関智一)と暮らしている桜。お友達の大道寺知世(だいどうじ・ともよ/CV:岩男潤子)とおしゃべりしたり、桃矢の友人・月城雪兎(つきしろ・ゆきと/CV:緒方恵美)に淡い思いを抱いたりと、平凡ながらも楽しい毎日が描かれます。
そんな桜はカードキャプターとして、カードを集め封印する役目を負っています。しかしカードを倒すというよりは、動きを止めたり、カードの願いを叶えたりして、カードたちを仲間にしていくのです。本作ではシリアスなシーンこそあっても、激しい恨みや憎しみといった強い「負」の感情はほぼ描かれず、ひたすら優しい世界が描かれます。
とはいえ、強いカードや強大な敵と戦う場面もあります。しかしそんなときでも、さくらは「絶対 だいじょうぶだよ」の名ゼリフとともに、希望を持って立ち向かってくれます。シリーズを通して、さまざまな愛や想いの形を美しく描くその世界観に、心洗われる魔法少女アニメといえそうです。このシリーズの第1期は、「dアニメストア」「U-NEXT」「Netflix」などで見ることができます。
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命のかかった契約もせず、仲間同士で殺し合うこともなく、明るく元気に戦う魔法少女たち。鬱アニメを見すぎて疲れてしまったときは、ぜひ上記作品を見て癒やされてみて下さいね。
※配信状況は記事掲載時点のものです。
(新美友那)