【春アニメ1話レビュー】『ULTRAMAN』は日々戦う大人たちのためのヒーロー?
1966年に円谷プロダクションによって、シリーズ第1作が制作された特撮作品『ウルトラマン』。新たにその名を冠したアニメ作品『ULTRAMAN』が2019年4月1日から配信開始しました。第1話の内容を考察しながら、作品の楽しみどころを紹介します。
ウルトラマンが不在のウルトラマンの物語

2019年4月1日から、Netflixにて配信が始まった『ULTRAMAN』。原作は「月刊ヒーローズ」で連載中のマンガ作品『ULTRAMAN』(作:清水栄一、画:下口智裕/ヒーローズ)で、フル3DCGとモーションキャプチャーを使った意欲作です。
円谷プロダクション制作の特撮作品「ウルトラマン」(1966年)から40年が経過した世界が舞台で、この「ULTRAMAN」では、ウルトラマンは過去に実在した光の巨人として描かれ、かつてウルトラマンだった早田進(CV:田中秀幸)は防衛大臣になっています。
早田進は、自身がウルトラマンだった頃の記憶は失っており、巨大怪獣や異星人たちの侵略から地球を守った科学特捜隊とその隊員たちも、過去の功績を展示する記念館の職員になっています。
“ウルトラマンの記憶を失くした”早田進は、その一方でウルトラマンだったころの名残を自身の体に宿しています。それは、本作の主人公であり、早田進の息子、早田進次郎(CV:木村良平)も例外ではありませんでした。幼い進次郎は、高いところから落下しても無傷のままで、進もそれに驚く様子もありません。それどころか、「あの子も普通じゃない」と口にし、何かを察している様子がみられます。
この普通ではない進次郎が、進からウルトラマンを引き継ぎます。しかし、進次郎が引き継いだのは、光の巨人としてのウルトラマンではなく、ウルトラマンの能力を模した強化装甲「ULTRAMAN SUIT」なのでした。進次郎は、この「ULTRAMAN SUIT」に身を包み、侵略を企む異星人から地球を守るため戦いを繰り広げます。
言ってしまえば、この物語は”ウルトラマン不在の、ウルトラマンの物語”なのです。第1話では、敵がどんな存在で、どういった目的なのも明らかではありません。作品に漂う雰囲気も、元祖「ウルトラマン」のような子供向けではありませんし、特徴的なオレンジの科学特捜隊のユニフォームの色も、ネイビーに変更されています。そして何より、同作品のウルトラマンはその代名詞である40mを誇る体長ではなく、通常の人間サイズです。