「本当は怖い」『ドラえもん』のひみつ道具 ある意味「死」よりも恐ろしい?
『ドラえもん』には、使い方を誤ると確実に危険だったり、そもそも使い方すらよくわからなかったりする「コワイひみつ道具」がたくさん出てきます。有名なもの以外にも、こんなコワイひみつ道具が……。
「悪魔のパスポート」「バイバイン」……コワイひみつ道具がめじろ押し!
『ドラえもん』の魅力といえば、四次元ポケットから出てくる夢いっぱいのひみつ道具。友達と「どのひみつ道具が欲しい?」なんて会話をしたことがある人も多いでしょう。
しかし、夢いっぱいだけではないのが『ドラえもん』の面白いところ。実はコワイひみつ道具もたくさんあります。「どのひみつ道具が一番コワイ?」なんて会話をしたことがある人も少なくないのでは。
コワイひみつ道具として話題に上がるのは、どんな悪事も許される「悪魔のパスポート」、スイッチひとつで嫌いな相手の存在を消せる「どくさいスイッチ」、一日で地球がくりまんじゅうの底に埋まる「バイバイン」、こんなものを持っているドラえもんを早く取り締まってほしい「地球はかいばくだん」(アニメでは「銀河はかいばくだん」)あたりが定番でしょうか。
今回は『ドラえもん』を読み返してみて、子供の頃は見落としていたけど、今読むとめちゃくちゃ「コワイ道具」を挙げてみます。
●弱い人は10回目で死んでしまう「百苦タイマー」
スイッチを押すと100分間で100の苦しみにあう「百苦タイマー」。一度動いたら絶対に誰にも止められず、地球の果てまで逃げてもダメ。おまけに、後になるほどひどい苦しみが待っています。
ドラえもんとセワシは「弱い人は、十回目ぐらいで死んじゃうこともあるんだよね」と恐ろしいことを言っていましたが、スイッチを押したのび太は4回目(つまりスイッチを押してから4分後)で鉄骨の下敷きになり、6回目で車にはねられていました。ここで死んでもおかしくありません。IKEAで売ってそうなぐらいプレーンなデザインなのもタチが悪いです。
●痛みを感じないのにダメージは残る「ヘソリンガス」
ガスを注入するだけで肉体的・精神的な苦痛が一切消える「ヘソリンガス」。のび太は車にはねられてもニコニコ、スネ夫はジャイアンに気絶するほど殴られてもニコニコ。しかし、ダメージがなくなるわけではなく、効き目が切れると痛みが全身に戻ってきます。
「ヘソリンガス」が恐ろしいのは、罪悪感や羞恥心などのネガティブな感情も完全に消してしまうところ。子供たちは「ひかり号にはねられても、いたくないよな」「東京タワーからとびおりても、平気だよ」などと口にしますが、彼らはニコニコしながら即死するでしょう。まるでSF小説『虐殺器官』の痛覚マスキングや戦闘感情適応調整のような恐ろしい道具です。