「本当は怖い」『ドラえもん』のひみつ道具 ある意味「死」よりも恐ろしい?
恐るべき洗脳マシン! 人をとことん堕落させる「いたわりロボット」
落ち込んでいる相手を元気づけてくれる女性型ロボットです。たとえどんな過ちを犯しても、どんな非があっても、あらゆる美辞麗句とレトリックと詭弁を駆使して甘やかしてくれるので、人をとことん堕落させます。
「いたわりロボット」に頼ったまま大人になったらどうなるか。ドラえもんがタイムテレビで見せた未来ののび太はホームレスになっていました。しかし、「いたわりロボット」は容赦しません。「こうなっちゃえば、火事やどろぼうの心ぱいもいらないし、自由に気ままに生きていけるわけよ」と笑顔で語りかけ、のび太は「ぼかあしあわせだなあ」と物乞いに精を出す始末。もはや恐るべき洗脳マシンと言ってもいいでしょう。
●何が現実かわからなくなる「うつつまくら」
夢オチが繰り返されるエピソードのため、実在したかどうかはっきりしない道具ですが、テレビ朝日のWEBコンテンツ「ひみつ道具カタログ」で紹介されていたり、他のエピソードでも写っていたりするなど、実在するのではないかと考察されています。
「うつつまくら」が実在すると考えると、夢と現実が入れ替わってしまうなんて恐ろしい道具と言わざるを得ません。のび太が生きているのは、現実の世界か夢の世界かわからなくなってしまっているのですから。「いったい、どれが夢なんだ」というのび太のオチの言葉にもゾッとさせられます。
●相手を社会的に抹殺できる「時限バカ弾」
タイマーをセットして相手に貼り付け、破裂するとバカなことをしてしまう道具です。ママは四つん這いで「オッペケペッポーペッポッポー」と奇声をはりあげ、ジャイアンも「ギッチョンチョンノパーイパイ」と踊りはじめます。
嫉妬に狂ったのび太は出来杉に「時限バカ弾」をセットしますが、失敗して自分がバカになってしまいました。舌を突き出し、鼻水を垂らし、あまつさえ屁までこきながら「ナンジャラモンジャラホニャラカピー」と叫ぶのび太。のび太を見つめるしずかの悲しげな表情が胸に迫ります。使い方次第で容易に相手を社会的に抹殺できる恐ろしい道具です。
夢いっぱいの道具もあれば、コワイ道具もある。それが『ドラえもん』の面白いところ。これからも世界に夢と感動を届けてほしいものです。
(大山くまお)