『ドラクエ3』魔物を引き寄せる「おうごんのつめ」でバラモス討伐を目指すとどうなる?
1988年にファミコンで発売された後、スーパーファミコン、ゲームボーイ、スマートフォン、ニンテンドー3DS、Nintendo Switchなどさまざまなハードに移植された名作RPG『ドラゴンクエストIII そして伝説へ』を久しぶりにプレイ。今回は「おうごんのつめ」にこだわった冒険の旅に出発しましたが……?
女武道家が「おうごんのつめ」に魅入られ手放さない、という設定

1986年の第一作発売から現在にいたるまで、RPGの代名詞的な作品として遊ばれている「ドラゴンクエスト」シリーズ。「ファミコンRPG最高傑作のひとつ」と評価される『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』(以下、ドラクエ3)は、今年2023年で発売から35周年となります。この機会に、久しぶりにファミコン版をプレイしました。
以前、序盤で78000ゴールドもする「あぶないみずぎ」を購入するというプレイをしましたが、今回は武闘家用の最強武器だが、モンスターの出現率が大幅に上がる「おうごんのつめ」にこだわってプレイを進めていきます。
というわけでRPGらしく、脳内ストーリーで「解釈」してみましょう。
* * *
私は勇者アリエル。勇者オルテガの息子として育てられたが、実は娘だ。
母やアリアハンの王様だけでなく、賢者になりたくて悟りを開こうとしている仲間の戦士ライアスや、商人になるのが夢の魔法使いロミオから、男扱いしかされないのが悲しくて「あぶないみずぎ」を購入、恥を忍んで披露した。
ライアスは電撃に撃たれたような顔をして「煩悩退散」を繰り返し、ロミオは珍しく真顔で「そんなに男性として扱われることが辛かったのですね。貴女には悪いことを申し上げました」と、まともな口調で頭を下げられた。調子が狂うけれど、一応目的は達したので、水着を売り払った。58500ゴールドもの大金が戻ってくる。何に価値を見出しているんだ?
もっと問題なのは、女武道家のシレネアがピラミッドで入手した「おうごんのつめ」に魅入られてしまったことだ。おうごんのつめを入手してから、魔物にやたらと襲撃されるようにもなった。
宿屋に泊ると夢にミイラおとこが出てきて「かえせーかえせー」と連呼される。でもシレネアはうっとりした目で「この子、サイコー」と、抱いて寝ており、絶対に手放そうとしない。私はシレネアにおうごんのつめを渡したことを後悔したが、どうにもならない。
ポルトガで船を入手したが、大海原のあちこちから白波を立てて、海の魔物が集まってくるのが見える。何とかしなくては……。
ひたすら戦いつつ、航海を進めると新大陸に到達する。上陸してしばらく行った所に老人がいて「ここに町を作りたいので、協力者として商人を連れてきてほしい」と言った。魔法使いのロミオが決意した顔をして「アリエルさん、私はダーマ神殿で商人になり、この方に協力しようと思います」と言う。いつもは老魔法使いのコスプレをして、ふざけている彼が、すごく真剣で戸惑う。
私が引きとめると、ロミオは「私は貴女のために、町を作りたいのです」と言う。戸惑う私に、ロミオは「貴女が貴女らしくありたいことが、水着の件でわかりました。でも、貴女は故郷ではオルテガ様の息子と認知されていて、それができない。私は貴女らしく生きられる場所を作りたい」と目を放さない。こいつ、普段はコスプレしていないといられないほど、照れ屋なのに……。
私の動揺を無視し、ロミオはルーラでダーマに行くと、その場で商人となった。おじさん商人の姿にコスプレするところが彼らしい。ロミオが老人のところに行き、放心状態となっていた私に、パーティに戻ってきた僧侶ニコライが、珍しく口を開いた。
「アリエル様。我々はスーの村に到達しましたが、おうごんのつめの呪いでポルトガから100回近く戦闘しています。消耗が激しくてバラモスを倒すどころではないかと。でも、どれほど敵が出ても問題ないほど、強くなれる秘策があります」
「秘策?」
「はい。アリエル様は28レベルになりましたね。なので、大変申し訳ないですが、一旦死んでください。それで我々は修行できます。ご免!」
「はい?」
何を言っているのか理解できないうちに、ニコライはザキの呪文を唱え、私は絶命した。

目を覚ますと、ダーマ神殿にいた。ライアスとシレネアは何か、雰囲気が違う。ニコライは賢者になっていた。話を聞くと、ニコライがライアスを騙して「さとりのしょ」を取り上げ、賢者となったらしい。ニコライに「貴方では悟れませんから、宝の持ち腐れです」と言われたライアスは悔しくて、魔法使いと僧侶を極めた後に、戦士に戻ったそうだ。私が死んでいる間に、ライアスと付き合っていたシレネアも同じことをしてから、武道家に戻ったとのこと。
「わたしたち、レベル1になりましたっ」 そういうシレネアの「たいりょく」は102もあった。お前たちのどこがレベル1なんだ……。
「全ての呪文を取得した、私たち3人で貴女をお守りします。おうごんのつめでどれだけ敵が出たとしても、全て倒して進むのみ」
心強すぎる仲間に守られて、私の冒険が再開した。
* * *
こんな脳内ストーリーをもとに、パーティの登場人物になりきって「おうごんのつめを持ったまま、魔王討伐の旅」をスタートします。ファミコン版では、パーティの先頭キャラクターが28レベルの時に、せいすいかトヘロスを使い、スーの村の西方にある平地を歩くと、経験値の高い「はぐれメタル」しか出現しなくなる裏ワザがあるのです。先頭に置いた28レベル勇者を「殺害」して、残りの3人のレベル上げをしたわけです。