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絵巻物にコマ割りや吹き出しが?「マンガ風」翻訳の新たな可能性

古典へのアプローチに”マンガ様式”を採用した理由

 そもそも、奈良時代から平安時代にかけて中国より伝来した絵巻物は、絵とともに説明が加えられた絵画作品のことを指していたといいます。のちに「仏教説話」や「民間伝承」などをモチーフに描かれるように進化を遂げる絵巻物は日本独自の文化であるといいます。

 詞書(言葉)と絵が合体した「絵巻」は、さながら現代のアニメーションやマンガと親和性が高そうにも思えますが、今回の「まんが訳」で、特に難航した部分は、「コマ割り」であったと大塚教授は語ります。

 その理由は、当時の見方と現代とでは物語と絵を追うときの”視線の動かしかた”が違うためとされています。

 当時用いられていた「異時同図法」という手法は、1枚の絵の中で同一人物が現れたり、時間の経過をも表す書き方ではありますが、現代では馴染みのないものでどこか違和感を覚えてしまいます。

 マンガ的な翻訳には右から左、上から下へと視線誘導に注意を払うことが何よりも大事な要素のひとつです。絵巻物のどの部分をクローズアップするのか、また細かな心理的描写や物語全体に緩急をつけるためにはコマの大小はどう勘案すれば良いのか……当時の読み手の感動をそのままにマンガに落とし込むにあたっては、舞台裏で白熱した議論が重ねられたそうです。

 今回の試みは、現代人に古典作品に親しんでもらううえで、アプローチの足がかりとなる役割を果たすと同時に、物語の伝達媒体のひとつとして「マンガ」が多様な可能性を秘めていることも示唆しているようです。

※本文を一部修正しました。

(マグミクス編集部)

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