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【韓国アニメ時報】テコンドーから始まる「コリアンヒーロー像」の系譜

韓国アニメの時代背景を考察しながら、その独自性に光を当てる連載「韓国アニメ時報」。今回は、韓国アニメの"ヒーロー像"について、イベント「韓国アニメ祭り」を主催するライターのかに三匹さんに解説してもらいます。

発祥国ならでは? 初期のヒーローは"テコンドーの達人"

『黄金鉄人』
『黄金鉄人』

 今回は韓国のアニメや特撮のヒーローについて取り上げたいと思います。もちろん前回取り上げた『テコンV』をはじめとしたロボットアニメの主役もヒーローであることには変わりがありません。

 さて、韓国アニメのヒーローといえば、韓国初の長編劇場用アニメ『ホン・ギルドン』(1967年)が挙げられるでしょう。ホン・ギルドンは小説に描かれたヒーローで、韓国では非常に親しまれた存在です。

 アニメ以外にもドラマや映画で何度も描かれており、最初の劇場用長編の題材としては非常に相応しいものだったことでしょう。

 初期の韓国アニメの『黄金鉄人』(1968年)は、等身大のヒーローが活躍する作品で、韓国アニメ史上初めてロボットが登場したことでも知られています。

 1971年には『鉄腕アトム』の影響を受けた『稲妻アトム』が作られました。またラジオドラマをアニメ化した『テコン童子 マルチ アラチ』(1977年)やその続編『電子人間337』(1977年)も、テコンドーで戦う主人公が人気だったといいます。

 1978年には、初のスーパーヒロインもの『飛べワンダー姫』が作られています。アンドロイドが活躍する『宇宙少年ケシー』(1979年)や『科学忍者隊ガッチャマン』の影響の強い『太極少年白いハゲワシ』、『機動戦士ガンダム』のキャラクターに似すぎている『宇宙黒騎士』、バットマンを彷彿とさせる『黒い星と黄金バット』といった作品が生まれています。

 1982年に韓国国内でプロ野球が開幕すると、アニメでも野球ものが積極的に作られます。『トッコタク 太陽に向かって投げろ』シリーズ(1982年)や、孤児院の野球チームが活躍する『黄金の腕』(1983年)、人気漫画を映画化『恐怖の外人球団』(1986年)もヒーローものに含めてもよいと思います。

 純粋なアニメ作品ではありませんが『ウレメ』シリーズも忘れ難い作品です。当時の韓国で大人気コメディアンであったシム・ヒョンレが主役を演じ、主人公のエスパーマンは『忍者戦士飛影』の鳳雷鷹にそっくりなメカなどに乗って戦うというものです。エスパーマンは実写ですが、巨大ロボットの活躍シーンなどはアニメーションで描かれます。同作品は大ヒットし、1986年から1993年までのべ8作品が制作されました。

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