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大物監督たちの若き日の「才能」に驚く 傑作平成アニメ映画10選(前編)

昭和の終わり、1988年に公開された大友克洋監督のSF大作『AKIRA』によって、新時代の扉を開けた日本アニメ界。劇場公開作の中から、平成という時代性を強く感じさせる作品をセレクト。史上最長の10連休中にじっくりと見直してみてはいかがでしょうか。

テロへの脆弱性を描いた『パトレイバー』のリアリティ

『映画 クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』(バンダイビジュアル)
『映画 クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』(バンダイビジュアル)

 平成の30年間には、アニメ映画の多彩なヒット作や話題作がたくさん生まれ、日本独自の文化として花開きました。史上最長の10連休中に観ておきたい「平成アニメ」10作品を2回にわたって紹介します。

●アニメは時代を予見するー『機動警察パトレイバー2 the movie』(1993年)

 押井守監督による、『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』(95年)と並ぶ、90年代の代表作。平成元年に公開された『機動警察パトレイバー』(89年)のヒットを受けて製作された『機動警察パトレイバー2 the movie』は、シリーズ最高傑作と評価されています。

 湾岸戦争や自衛隊の海外派遣といった時事問題を背景に描かれているのは、東京に首都機能が集中しすぎた日本という国の脆弱さ。ごく少数の武装勢力によって、東京が制圧されてしまう様子をシミュレーションして見せています。なかでも東京上空を旋回していた飛行船から毒ガスが漏れ出して、副都心・新宿がパニック状態に陥る過程は、実写映画さながらのリアリティです。

 本作の公開から2年後の1995年、オウム真理教による地下鉄サリン事件が発生します。オウムの実行部隊は、当初は農薬散布用のラジコンヘリを使ってサリンを東京中にバラまくことを予定していましたが、現在のドローンと違い、当時のラジコンヘリは操縦が難しかったため、この計画は頓挫。攻撃目標が地下鉄に変わったという経緯があります。都市型テロの恐ろしさを予見していた押井監督の先見性に驚きを禁じえません。

●社会現象となったテレビシリーズの結末ー『新世紀エヴァンゲリオン air/まごころを、君に』(1997年)

 庵野秀明監督のSFアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』はテレビ東京系で1995年〜96年に全26話が放映され、熱狂的な「エヴァ」ブームを巻き起こしました。『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生』(97年)に続いて劇場公開された本作は、テレビ放映では多くの謎を残したままだったエヴァの物語に、庵野監督がどのような決着を用意するのか、注目が集まりました。

【画像】未来を見通していた? 平成前半の名作アニメ映画(5枚)

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