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初代『ガンダム』打ち切りじゃなかったら、どんなラストだった?「富野メモ」から考察

初代『機動戦士ガンダム』は、全52話放送予定が43話で打ち切りになりました。現在においては、続編や映画版も登場するなど超人気作品として有名ですが、もし打ち切られなかったらどんなラストを迎えていたのでしょうか? もしかしたら現在受け入れられている『ガンダム』とは違った作品になっていたかもしれません。

打ち切りになっていなかったらアムロ・レイは死んでいた!?

SFアニメの金字塔『機動戦士ガンダム I』DVD(バンダイビジュアル)
SFアニメの金字塔『機動戦士ガンダム I』DVD(バンダイビジュアル)

『機動戦士ガンダム』といえば、ロボットアニメ界の金字塔として、アニメファンであれば知らない人のいないほどの超有名作品。そんな人気作品の『ガンダム』ですが、実は全52話放送予定が43話で打ち切られていたという過去があります。あの『ガンダム』が、本来のストーリーより9話も早く打ち切りの憂き目に遭っていたとは……。ガンプラを夢中で作っていた筆者には当時知るよしもありませんでした。

 しかしファンであるがゆえ、「もし仮に打ち切りにあっていなかったら、あの結末はどう変わっていたのかな」と考えてしまいます。

 たしかに思い返してみると、物語の終盤はやや唐突な展開があったのは否めません。たとえばジオン公国軍総帥のギレン・ザビを、味方である妹のキシリア・ザビが討つシーン。やや自軍優勢な状況とはいえ、戦闘中に軍事的天才であるギレンを撃つ危険性は理解できないはずはないですよね。いくらキシリアが軍事より政治向きの人物であったとはいえ、無理矢理な印象がありました。打ち切りの影響で、物語を一気に畳む必要があったのでしょう。

 そもそも、当時のロボットアニメと言えば勧善懲悪が当たり前で、毎度敵ロボットを倒して、めでたしめでたしが普通でした。一方『ガンダム』は、地球連邦軍サイドのアムロ・レイ視点をメインに描かれているとはいえ、戦争を背景にしているため、どちらが正義か悪かという概念がない世界。また戦争なので人がたくさん死んでしまうという暗い話が多かったことも、子供には受けなかった要因のひとつかもしれません。

『ガンダム』の監督である富野喜幸(現:富野由悠季)さんが残した「富野メモ」には、打ち切りによって放送されなかった数々のストーリーやネタが記されています。「富野メモ」によれば、主人公のアムロ・レイが最終回で死亡する予定だった、シャアの片腕としてシャリア・ブルが活躍するはずだったなど、世に出なかった構想が散見されます。シャリア・ブルの活躍はともかく、主人公のアムロ・レイが生きたまま終わってくれたのは不幸中の幸いでした。

 皮肉なことに、アニメは打ち切り決定直後の時期から盛り上がりを見せます。物語が終盤に近付くにつれて、どんどん人気が上がるという状況。玩具販売の売上も主人公機のパイロットが死ねば影響が心配されます。再放送や続編製作の可能性なども考慮されて、アムロ・レイが一命を取り留める結果になったようです。
 すっかり大ヒット作品の地位を獲得した『ガンダム』。その後も劇場版の上映や続編アニメのスタート、その他にもゲームを始めさまざま分野で人気を誇る一大コンテンツに成長を遂げました。

※本文の一部を修正しました。(2023.3.22 10:45)

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