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大物監督たちが描いた「夢」がここにあるーー傑作平成アニメ映画10選(後編)

ワケあってマイナーになった「幻の名作」

●発掘された幻の名作『マイマイ新子と千年の魔法』(2009年)

 単館系で公開された『この世界の片隅に』(16年)が興収27億円のヒットを記録した片渕須直監督。アニメ界の苦労人として知られてきた片渕監督の、もうひとつの代表作が『マイマイ新子と千年の魔法』です。非常に高いクオリティの作品ですが、製作の時点で予算が底をついてしまい、劇場公開時にまったく宣伝できずに幻の作品となってしまいます。

『この世界の片隅に』が観る者を戦時中へとタイムワープさせてくれたように、『マイマイ新子』も郷愁漂う昭和30年代へと誘います。新子は山口県防府市で暮らす空想好きな小学生。自宅前に広がる麦畑には、かつて古い街があったことおじいちゃんに教わり、千年前の世界を生きる少女へと想いを巡らせるのでした。

 東京から来た転校生の貴伊子との友情エピソードと千年前の世界とが巧みに交差し、子ども時代の感受性の豊かさを思い出せてくれます。また、昭和30年代を安易に美化することなく、新子たちは痛みを伴う体験も味わうことになります。

 昭和30年代の生活をリアルに再現した『マイマイ新子』に片渕監督は手応えを感じ、さらに時流を遡った『この世界の片隅に』の製作に着手。『この世界の片隅に』がヒットしたことで、前作『マイマイ新子』も再評価されることになりました。『この世界の片隅に』を観賞した後は、ぜひ『マイマイ新子』にも手を伸ばしてみてください。歴史とは一本に繋がった時間の流れであることを実感できるはずです。

【画像】『この世界の片隅に』につながる幻の作品も。平成アニメ映画の名作たち(4枚)

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