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アニメの「聖地巡礼」生み出した平成時代のOVA、見逃せない名作5選

テレビ放映ではなく、販売またはレンタルで流通したアニメ作品、いわゆる「オリジナルビデオアニメ(OVA)」の分野においても多彩な作品が生まれ、平成時代のアニメを盛り上げました。「傑作平成アニメ映画10選」の番外編として、平成の名作OVA5作品について解説します。

「聖地巡礼」発祥記念碑を生んだ作品はOVAだった

『トップをねらえ! Blu-ray Box』(バンダイビジュアル)
『トップをねらえ! Blu-ray Box』(バンダイビジュアル)

 1983年にリリースされた鳥海永行・押井守監督のSFアニメ『ダロス』から、オリジナルビデオアニメ(OVA)の歴史は始まりました。劇場公開作やテレビシリーズとは異なり、OVAの製作では気鋭の若手スタッフが抜擢されることが多く、90年代に入ると多種多様なOVAがレンタルビデオ店に並びました。
 
 近年は深夜アニメやネット配信に押されぎみとなっているOVAですが、平成時代を賑わせた5本の名作OVAを振り返ります。

●最終話のエンディングに誰もが号泣!!『トップをねらえ!』(1988〜1989年)

 庵野秀明監督の記念すべき監督デビュー作となったSFロボットアニメ。戦場へ送り込まれた女子高生ノリコが眠れる能力を爆発させる姿は、後の『新世紀エヴァンゲリオン』の主人公たちに通じるものがあります。キャラクター原案は、『超時空要塞マクロス』の美樹本晴彦が担当しています。

 昭和の終わりから平成元年にかけてリリースされた本作は、1話30分の全6話構成。序盤は、スポ根アニメ『エースをねらえ!』をパロディしたライトな学園コメディですが、次第にギアチェンジして後半からは”ウラシマ効果”をモチーフにした怒濤のハードSFアクション大作へと変貌します。観る者を裏切る心地よさがある、自由度の高いオリジナルビデオならではの作品です。

 本作の人気を受けて、2004年には鶴巻和哉監督による続編『トップをねらえ!2』がリリース。『トップをねらえ!』のラストシーンに感涙した人は、ぜひこちらもチェックしてみて下さい。

●「聖地巡礼」はここから始まった!『究極超人あ〜る』(1991年)

『らき☆すた』の埼玉県久喜市、『ガールズ&パンツァー』の茨城県大洗町、『けいおん!』の京都、『君の名は。』の岐阜県飛騨市など、人気アニメの舞台となった土地をファンが訪ねる”聖地巡礼”は、日本政府も外国人観光客を取り込んだコンテンツツーリズムとして力を入れており、ブームはまだまだ続く見込みです。

 そんな巡礼ブームの原点とされているのが、ゆうきまさみ原作コミックのOVA版『究極超人あ〜る』。私立春風高校光画部(写真部)に所属する生徒とOBたちがスタンプラリーをしながら鉄道旅行をするというシンプルなストーリーながら、JR東海の飯田線は『あ〜る』の熱烈なファンたちによっていち早く”聖地”化されました。

 旅の目的地である長野県伊那市では、本作にちなんだ自転車イベントが毎年7月に開催され、無人駅である田切駅近くには「アニメ聖地巡礼発祥の地」と刻まれた記念碑まで建立されています。SNSの発達によってアニメは個人で観賞するものから、体感・共有するものへと変わりつつあるのです。

【画像】「エヴァ」のルーツもここから…実験精神あふれる平成OVAの世界(7枚)

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