初代『ガンダム』ファンから否定され…『Gガン』誕生秘話、評価を覆した異色設定
これまでのリアル路線に対し、「ガンダムを駆使して武闘大会で闘う」という異色設定で当初賛否両論を巻き起こした『Gガンダム』。後に評価を覆したこの挑戦作はどのようにして生まれたのでしょうか。
否定から絶賛に評価一変!
数あるガンダムシリーズのなかでも、ひときわ異彩を放つといえば、やはり『機動武闘伝Gガンダム』でしょう。
『機動戦士ガンダム』『機動戦士Zガンダム』『機動戦士ガンダムZZ』『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』『機動戦士ガンダム0083 STARDAUST MEMORY』『機動戦士ガンダムF91』『機動戦士Vガンダム』……多少のデコボコはあれど、ずっと、いわゆる「リアル路線」の物語を作り続けてきたガンダムですが、1994年、それまでのガンダムファンを唖然とさせる番組が登場しました。それが『機動武闘伝Gガンダム』です。
未来世紀、武力戦争に代わり、地球の覇権をかけて各国代表のガンダムファイターが、それぞれの国を代表するモビルファイター(この世界で「ガンダムファイト」にエントリーする各国の代表が操るガンダムたちは「モビルスーツ」ではなく「モビルファイター」と呼ばれます)のガンダムを駆使して武闘大会で闘う……こう聞いただけで「これでガンダムなの?」と思われた方も多かったことでしょう。
当然ながら、当時のガンダムファンもびっくり仰天。始まった当初は、そりゃあもう、賛否両論、実際には「こんなのガンダムじゃない!」派の意見が大多数だったようです。
しかし、そこはガンダム。大きな流れの中で展開する主人公とその師匠との人間ドラマ、裏に隠された巨大な陰謀、最後には、愛する人や人類すべてに問いかける壮大なテーマが見えるという、何段もの凝った作りに、否定派から肯定派に変わるファンが続出。また、昨年惜しくも急逝された鵜島仁文さんが、作曲、作詞、歌唱を担当したオープニングの透き通った力強い歌声も『Gガンダム』を語るときには忘れてはならない魅力でもありました。
だからこそでしょう。驚いたことに『Gガンダム』を絶賛する人のほとんどが、筆者が知る範囲では、なんと初代ガンダムからのファンでもあるのです。
では、どうしてこんな異例ともいえるガンダムが登場したのでしょうか。
※本文の一部を修正しました。(2023.3.23 10:20)